コミュニケーションについて考える。 十河

高入生がACPで、英語で考え英語で発表するというプログラムに取り組んでいる。多くの気付きと自己表現が実現できるよう期待している。ここでは、最近読んだ記事や書籍から目に留まったものを紹介する。

第76回カンヌ国際映画祭の脚本賞に輝いた坂元裕二さん
「車を運転中、赤信号で待っていました。前にトラックが止まっていて、青になったんですが、そのトラックがなかなか動き出さない。よそ見をしているのかなと思って、クラクションを鳴らしたけど、それでもトラックが動かなかった。ようやく動き出した後に、横断歩道に車いすの方がいて、トラックはその車いすの方が渡りきるのを待っていたんですが、トラックの後ろにいた私には見えなかった。それ以来自分がクラクションを鳴らしてしまったことを後悔し続けていて、世の中には普段生活していて、見えないことがある。私自身、自分が被害者だと思うことにはとても敏感ですが、自分が加害者だと気づくことはとても難しい。それをどうすれば加害者が被害者に対して、していることを気づくことができるだろうか。そのことを常に10年あまり考え続けてきて、その1つの描き方として、3つの視点で描くこの方法を選びました」と脚本に込めた思いを語りました。

語学の天才まで1億光年 高野 秀行
コミュニケーションは協働作業なのである。自分一人で会話するということはない。必ず相手がおり、その相手はたいていの場合、コミュニケーションを成立させるためにこちらに協力してくれる。車の免許を取りに教習所へ通っていた時、ある教官が授業でこう言っていたのを思い出した。「皆さん、免許を取っていざ道路に出たら、他の車にぶつけちゃうんじゃないかと心配になるでしょ。でも大丈夫です。ほかの車はみんな、皆さんより上手です。ちゃんとよけてくれます。
同じようなことが語学にも言えるのである。「言葉が通じないと心配するかもしれないけれど、他の人たちはみんなもっと上手です。ちゃんと助けてくれます。」助けないと会話が成立せず相手も困るのである。下手な車をよけないと他の車が困るように。私が、”Yes, doesn’t work.”と答えたことについて、主語のitが抜けているとか、否定疑問文だから答えは”yes”ではなく”no”だろうとか、英語を知る人はツッコミたくなるだろうが、そんなことは些細な問題で、この言い方でまず普通に通じる。