梅雨入りはいつ? 吉田 晋

みなさん、こんにちは。
今年もいよいよ梅雨が迫ってまいりました。
今年の梅雨入りはいつでしょうか?
ちなみに、本稿執筆時点(5/28)ではまだ梅雨入りしていませんが、もしかして本稿が公開される頃にはすでに梅雨入りしているかもしれません。

さて、梅雨入りといえば2021年を覚えておられますか?
近畿地方は、なんと5月16日に梅雨入りしています!
「異常」ですね。

参考)https://akashi-journal.com/useful/baiu-2021/

ただ、この後晴れの日が続いたため、後ほど「6月12日」に訂正されました。しかし、当時は気象のプロが見間違うほど雨が続き、本当に梅雨入りしたかのような天気でした。

この5月16日が本当に「異常」なのか、客観的に分析してみたいと思います。
(中学生には難しい内容かと思います。ごめんなさい。)
過去の梅雨入り・梅雨明けの日は、気象庁のサイト(下記)で確認できます。
以下は近畿地方のデータです。
2021年の結果を分析したいので、このデータのうち2020年以前のもののみ利用することにします。

https://www.data.jma.go.jp/cpd/baiu/kako_baiu07.html

分析にあたって、5月1日を第1日…6月1日を第32日と言ったぐあいに日にちを変換したものが以下です。この処理を前処理と言い、データ分析では必須の過程です。

38, 45, 28, 30, 46, 22, 48, 56, 36, 41, 40, 33, 44, 43, 29, 52, 44, 48, 41, 34, 34, 36, 42, 36, 36, 38, 42, 38, 29, 42, 44, 43, 39, 38, 47, 39, 39, 39, 31, 26, 38, 30, 39, 34, 38, 33, 33, 34, 40, 36, 42, 41, 37, 42, 39, 45, 28, 34, 44, 22, 39, 27, 34, 34, 35, 51, 36, 58, 41

平均は38.26日、標準偏差(正確には不偏分散の平方根)は7.06日となります。
38.26日というのは6月7日に相当し、これがいわゆる「平年」の梅雨入り日ということになります。

ここで、梅雨入りの日の分布の母集団が正規分布に従うと仮定します。
上記の前処理済みのデータのヒストグラムと平均38.26、標準偏差7.06の正規分布の曲線(確率密度関数にサンプル数の69をかけたもの)を重ねて描くと以下のようになります。

平均付近でやや当てはまりが悪い気がしますが、サンプル数が69とあまり多くないので、そこは目をつぶることにしましょう。

さて、このモデルで第16日(つまり5月16日)が観測される確率を計算してみると、なんと0.0008080782 つまり0.08080782%ということになりました。
1万年に8回の割合です!
これなら異常といっても納得ですね。

われわれ人間は感情の生き物なので、どうしても物事を主観的に、そして感情的に捉えがちです。
でもそれでは真理は見えてきません。
データをもとに物事を客観的に捉え、分析することが重要になります。
自然科学はそうやって発展してきました。

現代はビッグデータの時代ですから、データの数は膨大です。上記の梅雨入りの日の計算くらいなら電卓と正規分布表があればできますが、中高生の皆さんが大学生、あるいは社会人になったときに扱うデータはコンピュータなしには扱えないものがほとんどでしょう。

このような「データをコンピュータで扱う」ことを学ぶのが「情報」という科目です。
「情報」をしっかりと学んで、客観的に物事を見ることができる大人になりましょう。