八幡 瑞穂

 先日、とあるコンビニに行ったときのこと。

 外国人の男の子ふたりが、「この商品を探しているのですが、どこにありますか?」と、スマホの画面を店員さんに見せながら聞いていた。「ここには置いてないですね…」と申し訳なさそうに言う店員さんに、肩を落とすふたり。たまたま彼らと話す流れになったので事情を聞いてみると、どうやら、あまりにおいしくて忘れられないいちご味のアイスバーがあるらしい。それを見つけたら店中のものを買い占めるつもりで、かれこれ1時間ほど市内のコンビニを転々としているのだとか。アイス売り場のショーケースには他にもいちご味のアイスがあったけれど、それではだめなんだ、と。モロッコ出身だという彼らは、シャウエンというモロッコにある美しい青い街のこと、モロッコには学校に通えていない子供がたくさんいること、日本語を少し話せるようになったけれど、やっぱり難しいということ、日本人はみんなやさしいということ……などを、流暢な日本語で聞かせてくれた。

 私が人生で初めて出会ったモロッコ人である彼らの話をうなずきながら(ときに手をたたいて笑いながら)聞いていて、国語の教科書で読んだ「人間は皆同じである」ってこういうことなのかなぁと思った。国境や民族や宗教や思想を超えて、共有できるものは間違いなくあるし、それってほんとに素敵なことだなぁ、と。

 さよならした後、彼らは再び「アイスバー探しの旅」に出かけたみたいだけど、どうなったんだろう?見つかってるといいな。彼らがそこまでして食べたいと思ういちご味のアイスバー、わたしも食べてみたい。きっとめちゃくちゃにおいしいんだろう。もうたぶん二度と会うことはないけれど、今でもコンビニに行くたびにショーケースの中をついつい探してしまう。