闘将を偲んで 遠藤 徹

いよいよ、今週末にセンター試験が行われます。高校3年生は、入試に向けて、年末年始も時間を惜しんで学習に取り組んできました。この時期の受験生はみんな不安な気持ちを抱えていると思いますが、今まで努力して築いてきた力を信じて最後まで頑張り抜くことを願っています。

さて、年明け早々、楽天球団副会長で中日、阪神、楽天で監督、北京五輪では日本代表監督を務めた星野仙一氏が4日に亡くなったという訃報が6日に出されました。70歳でした。現役時代は「燃える男」との異名がついた気迫のピッチングで通算146勝をマーク。「闘将」と呼ばれた指揮官としては、率いた3球団すべてを優勝に導き、昨年には野球殿堂入りを果しました。特に、私にとっては2003年に阪神を18年ぶりに優勝させたときのことは今でも印象に残っています。

星野氏が最後に公の場に元気な姿を見せたのは、昨年12月1日、大阪市内で行われた自身の「野球殿堂入りを祝う会」でした。そのときには、すでに末期の膵臓癌で満身創痍の状態であったにもかかわらず、自分のために集まってくれた周囲の人達を心配させないように最後まで気丈に振舞っていたと言われています。

そんな星野氏を支えていたのは強い「不屈の精神」であり「野球を愛する心」でした。逆境をバネにし、相手が強く巨大であればあるほど闘志を燃やし、現役時代は「打倒巨人」を公言し、長嶋、王を擁するV9巨人に果敢に立ち向かっていきました。指揮官になってもそのスタイルは変わらず、勝利の為には一切の妥協を許さずに選手を厳しく指導しました。その半面、選手に対する愛情も人一倍で、裏方さんらへの配慮も欠かさなかったと言われています。本当に人間味にあふれた指揮官でした。

これから、センター試験を皮切りに本格的に入試が始まります。高校3年生にとっては苦しい時期が続きますが、最後まで「不屈の精神」をもって入試に臨んでほしいと思います。そして、今まで自分を支えてくれた周囲の人への感謝の気持ちを忘れずに、入試直前まで学力を伸ばせるように最善を尽くすことを期待します。