中間テスト終わったらしますか。    鬼塚 寛之

明日から二学期中間テストですね。信愛生のみなさんはテストに向けて頑張っているところでしょう。暑さも少しづつ和らいできて、勉強しやすくなってきたのではないでしょうか。さてみなさんは、テスト終わったらあれやろう、とか何処に遊びに行こうとか考えませんか。もし決まってなければ、読書の秋ですので読書などはどうですか。この場を借りて一冊の本の紹介をしたいと思います。

最近は人工知能という言葉をよく耳にします。私が子供のころもこの言葉自体は使われていましたが、ずっと未来のこと、として使われていました。ところが現在では、人工知能があらゆる分野で驚異的な活躍を見せています。以前は人間にしかできない、機械には決してできないことが多くありました。近年では、音楽や小説を人工知能につくらせる研究がすすめられていて一定の成果をあげています。

ところで人工知能と普通のコンピュータの差とはなんなのでしょうか。これは多分はっきり定義されていないのだと思いますが、「直観と進化」というのがある程度その差をつくっているのではないかと考えています。現在、囲碁の世界では完全にAIが人間を上回ったといわれています。このソフトはα碁と言われ、対局中に誰も見たことがない、試したことがない常識はずれな手を序盤に打つことがあります。しかし、終盤ではその手が決め手になって、世界王者をも倒しました。「人間が与えていないものを、自分で創りだす」というのは、これまであまりなかった機械の動きです。また、人間では発見できない癌細胞を発見させたりする人工知能もあります。与えられた指示に従うだけでなく「答えの探し方」を考えることができるようです。将来的には数学の研究も機械が行うようになるでしょう。機械は人間の特徴であった、直感に類するものまで手に入れつつあります。

しかし、まだ機械が獲得できていない一番重要な人間的な性質があります。「感情」です。ところで、この感情ですが、まだ分かっていないことはたくさんあるようです。

今回紹介したい本は、コンラート・ローレンツという人の「ソロモンの指輪」という本です。この本はある有名な生物学者が書いた本なのですが、誰でも気軽にすごく楽しめる本だと思います。その中に、宝石魚(カワスズメ)という魚が登場します。コンラート先生は大学の研究室で学生たちと一緒にこの魚をみていました。この魚は口の中に子どもを入れて安全な巣まで運ぶ習性があります。さて、みんながその様子を見ている中、子どもを運び終わった宝石魚は巣を出て、餌を探しに行きました。そこで一匹のミミズを見つけこれを口にくわえます。

その時、宝石魚の視界の端に一匹の子どもの宝石魚が入ってきました。一匹運び忘れていたようです。親の宝石魚は口にミミズを入れたままで本能的に、子供の魚を口に入れてしまいました。金魚等飼っている人はよく知っていると思いますが、魚は本当に食い意地が張っていますから、コンラート先生でさえ、次に起こることに関して最悪の結果を考えたそうです。一瞬魚の動きが静止します。本能的な食欲と、親魚として行動。脳にインプットされた二つの命令回路が同時に相反する行動を要求します。コンラート先生はこのとき、まるで魚が思考しているかのようであった、と述べています。その様子は滑稽であると同時になにか私たちに教えてくれているかのようです。そして、その直後の結果は、コンラート先生も学生たちも予想し得なかったものでした。拍手喝采に包まれた研究室の様子が読む人にも伝わってきます。どんな結果だったかはみなさん中間テストが終わってから自分で読んで確かめて欲しいと思います。