人に伝えること 岡田めぐみ

みなさんは、「人に伝えること」の難しさを知っていますか?

私は毎週、数人の高2生と「勉強会」という名の化学の補習授業をしています。授業で分からなかった問題を復習したり、以前に習った苦手な単元をピックアップしたりと、いろいろなことを取り扱っているのですが、今日の勉強会での一コマ。

いつもは生徒が問題を解いて、私が解説をするというスタイルなのですが、今日は少し気分を変えて、生徒が問題を解き、指定された子が黒板でみんなに説明するという形式を取ってみました。

「出来た?」と聞いてみると「多分・・・」と答え、不安そうに黒板に向かう生徒。解答の「式」を書いていざ説明!すると、別の子が「なんでその式になるん?」と質問をしました。解答者の子は「うーーん・・・なんか分からんけどこうなった」と。その子の解答はほぼ正解だったのですが、いざ、友達に分かるように説明しようとすると詰まってしまいます。

信愛のみなさんは、毎日たくさんの授業を受けてたくさんのことを勉強していますが、それはインプット。大切なのは、授業で得た情報をアウトプットできるか、というところです。人に説明して分からせることが出来たら100点満点、完全に自分のものになります。

最近、ノートチェックをしていて思うことは、問題を解く過程で「式」だけを書いて日本語の説明がないものがとても多いのです。化学に限らず、理科や数学の問題集の解答には必ず説明の日本語や、問題集によってはポイントが書かれていますよね?自分で問題を解くとき、式変形だけをして日本語を書かないのはとてももったいない!解答の過程に日本語を入れたり、最後にまとめポイントを入れるというのは、ノート相手に自分の知識をアウトプットする作業なのです。別の誰かがそのノートを見て、理解できるレベルだと完璧です。

話を戻して勉強会の続きですが、解答者が詰まったところで少しだけヒントをあげてみました。「なんでこの式が出てくるかやけど・・・(以下略)」。すると、解答者も質問をした子もぱぁっと表情が明るくなって「あ、分かった!」「理解!」「じゃぁ、その続きの問題はこうやって・・・」。すると、別の子が「先生、この(黒板で人に説明する)やり方、楽しいなぁ」と言うのです。その場にいた5人みんなが、その問題を理解した瞬間でした。

さて、みなさん。宿題をするときに書くことを面倒がってはいませんか?自分の頭の中を文章に表すことで理解度が深まり、忘れにくくなるということを頭の片隅に置いて、明日からの宿題ノートには「人に伝わるように」工夫を凝らしてみてはどうでしょうか?