少しご報告が遅くなりましたが、1学期の終業式前の7月22日(金)15:30より上野千鶴子先生を講師としたオンラインセミナー「日本社会とジェンダー」に中3のiコースと、高1、高2の生徒が参加しました。
これは本来なら、広島大学が実施している「WWL(ワールドワイドラーニング)コンソーシアム支援事業」の連携校だけが参加できるものだったのですが、ぜひとも信愛生にも参加させていただきたいとお願いしたところ、本学がWWLの姉妹事業である地域協働事業校に採択されていたこともあり、快く参加を認めていただくことができました(広島大学の由井先生、またWWLコンソーシアム事務局の皆さま本当にありがとうございます)。
さて、上野先生といえば2年前の東京大学の入学式の祝辞が大きな反響を呼んだことで、皆さんもご存知のことと思います。医学部の不正入試や東京大学入学者の女性比率、東大にも多くの差別が存在する現実などが注目されたかもしれませんが、実は祝辞の最後の方に次のような言葉があったことをご存知でしょうか。
「あなた方を待ち受けているのは、これまでのセオリーが当てはまらない、予測不可能な未知の世界です。これまであなた方は正解のある知を求めてきました。これからあなた方を待っているのは、正解のない問いに満ちた世界です。学内に多様性がなぜ必要かと言えば、新しい価値とはシステムとシステムのあいだ、異文化が摩擦するところに生まれるからです」
これは、今年度より新しい学習指導要領のもと実施される探究型学習が意図するもの、そしてその学びを進めていく手法そのものであると思い、ぜひとも生徒たちに話をしていただきたいとひそかに思っていましたが、こんな形で実現することとなりました。
当日は、ジェンダーギャップの現状の説明とともに、上野先生らしい少しブラックなユーモアも織り混ぜながら、中高生にも理解しやすいわかりやすい表現を用いてお話くださいました。「あなたたちの時代にはジェンダーの問題を解決できるかもしれない」などと随所に熱い思いがこもった言葉も散りばめられており、生徒たちの心が前向きになる講演だったと思います。
講演後の質疑応答の際には、本学中3生の「女子校に通うということをどうお考えですか?」というチャット機能を用いた質問に気づいてくださり、
「今の女子校はキャリア学習などに力を入れている学校が多く、非常に良い環境が提供されていると思います。女子校は一見すると多様性がない空間に見えるかもしれませんが、共学校よりも女子が主体性、積極性を身につける機会が必然的に多くなるため、ジェンダーギャップの存在する現代社会の中においては非常に良い選択だと思います。しかし、ただその中にいるだけでは意味がない、ぜひその環境の中で自ら学んでください」
というコメントをいただくことができました。
なお、先日広島大学からご連絡をいただき、現在第2回のオンラインセミナーを企画中だそうです。50分の時間全てを中高生との対話形式で行いたいという上野先生の意向があるそうで、ぜひそちらにも参加できるよう交渉してみます。
また、将来的には、信愛生のためにお話してくださるという日が来るように行動していくつもりです。