秋の思い出  西川誠則

昼間はまだまだ暖かい日が続いています。
例年、期末考査まで2週間を切った頃になると
冬の気配も感じられるものですが
今年は寒がりの人にとっては平穏な毎日ですね。

さて、今日は、暦の上で秋となった頃の
我が家の裏庭でのできごとを。

その日は、久しぶりに植木の剪定をしようと
朝から庭に出ました。
すると、どこからともなく「チッチ」とかすかな音が。
何だろうと思い、音がする方を見上げて探していたら、
数羽のひな鳥が一生懸命首を伸ばしてさせずっている姿が
目に入ってきました。

まさか、我が家の庭木に?と正直驚いたとともに、
その日の剪定をあきらめ、ひな鳥が巣立つのを待つことにしました。

その日から連日、帰宅するのが楽しみになりました。
まだ目が開いていない状態から日々成長していきます。
どんな姿で巣立っていくのだろうかとわくわくしていました。

そうしているうちに、その日は突然訪れました。
帰宅後いつものように、そうっと、巣の様子をうかがおうと近づいたのですが、
いつもなら、親鳥と間違えて元気よくさえずってくれるのに、
今日は何やら静か。

次の瞬間、ドキッとしました。
その日の明るいうちに巣立ってしまっていたのでしょう。
巣の中は空っぽでした。

その時初めて、何とも言えない寂しさと切なさを実感しました。
と同時に、子どもが自立して家を出ていく姿と重なりました。

その週末にようやく剪定ができたのですが、
ひな鳥の成長を応援していた巣はそのままにしてあります。

来年こそは巣立ちの瞬間に立ち会いたいと思います。

いよいよ寒くなってきます。
皆さんは、体調を万全に整えて、期末考査に臨んでください。