表面張力の失われた瞬間   石田 晋司

深夜、激しい雨音に目が覚めた。
明日は雨かと少し気分はすぐれないが、再び眠りについた。
翌朝、意外にもリビングに朝日が差し込んでいる。
ほっとしたと同時に、急に戸外に出したままのバケツのメダカが気になった。
はたして、水はあふれんばかりに膨張してはいるが、表面張力のおかげで、メダカは無事である。
ところが、細粒の朝ご飯を与えた瞬間、水面が一気にバランスを崩し、数匹のメダカとともにざっと流れ出た。
水の表面張力が失われる瞬間を目の当たりにした思いがした。
同時に、人の心も何かでいっぱいになり、些細なきっかけで一気にあふれてしまうこともあるのかな、などと考えた。

さて、今春この和歌山信愛高校に再就職した私。
毎日生徒のみなさんと、ふれあう中で、様々なことに悩む姿に出会うことがあります。
そんなとき、誰かに話すことで少しは心にゆとりができるよと話したりします。
私は、日々和歌山信愛高校のみなさんは、本当に心が優しく、友達思いの生徒ばかりだと感じています。
だからそのような皆さんの成長を育む立場でいられることに毎日喜びを感じています。
ちょっと年は離れていますが、皆さんの気持ちを理解し、共感できる先生になって、あふれそうな心を持つ君たちを応援したいと思います。
心を一杯にしている人はいませんか?
バケツの水のように、皆さんの心が表面張力を一気に失ってあふれてしまわないように
 ご用心ご用心。