藤井棋聖 木村王位を破り 最年少記録    須賀弘樹

【2020年8月20日 藤井聡太棋聖 史上最年少 二冠達成&八段昇段】

この日、第61期王位戦七番勝負第4局にて、藤井聡太棋聖が木村一基王位に勝利し、史上最年少での二冠達成と八段昇段を決め、記録ずくめの1日となりました。

今回の王位戦は、藤井棋聖の記録がかかっているということもあり、タイトル戦が話題になっていました。一方でタイトル挑戦権を得るまでの過程はあまり報道されませんが、とてつもなく長い道のりがあります。王位戦の場合、まず8つのブロックに分かれて予選トーナメントが行われます。その後、予選を勝ち上がった8名に予選免除の4名を加えた12名による挑戦者決定リーグが行われます。ここでは紅組・白組に分かれて6名による総当たり戦を行い、各組1位を決めます。そして赤組1位と白組1位による挑戦者決定戦が行われ、これに勝利した方がようやく王位への挑戦権を得ることができます。

藤井二冠の王位獲得までを簡単にまとめてみます。

予選トーナメント 初戦 2019年9月25日 (王位獲得まであと330日!!)

予選トーナメント 決勝 2019年12月17日  (王位獲得まであと248日!!)

挑戦者決定リーグ 最終戦 2020年6月13日 (王位獲得まであと68日!!)

挑戦者決定戦      2020年6月23日  (王位獲得まであと58日!!)

王位戦七番勝負 第一局 2020年7月1,2日  (王位獲得まであと49日!!)

王位戦七番勝負 第四局 2020年8月20日  (王位獲得!!)

この戦いはタイトル獲得の約1年も前から始まりました。藤井二冠は王位獲得までに14回対局し、1度も負けずにタイトル獲得となりました。この14戦全勝というのがまた凄まじく、1960年に始まった王位戦で、予選トーナメントから全勝でタイトルを獲得したのは史上初だそうです。

プロ棋士の通算勝率は5割前後に落ちつくと聞いたことがあります。その中で14連勝、しかも当然勝てば勝つほど強敵と対戦することになるので、本当に凄いとしか言えないですね。

藤井二冠のこれまでの快進撃による盛り上がりもあって、将棋がより身近なものになり、休みの日には将棋中継を見るようになりました。すると自分も勉強してみたくなり、最近はYouTubeの将棋講座(プロ棋士が初心者に向けてわかりやすく解説してくれています)を見ながら、将棋アプリで実践を積んだりしています。そのような感じでわかりやすく影響を受けている私ですが、今回の王位戦の王位であった木村一基九段のタイトル獲得までの苦労と努力を知り、それが自分自身とても刺激を受けたのでご紹介します。

【初タイトル獲得 タイトル挑戦7回目&46歳3ヶ月 いずれも史上初】

木村九段のタイトル挑戦を簡単にまとめてみます。

1回目 2005年 竜王戦 0勝4敗で敗退

2回目 2008年 王座戦 0勝3敗で敗退

3回目 2009年 王位戦 3勝4敗で敗退

4回目 2009年 棋聖戦 2勝3敗で敗退

5回目 2014年 王位戦 2勝4敗で敗退

6回目 2016年 王位戦 3勝4敗で敗退

7回目 2019年 王位戦 4勝3敗で王位獲得!!

先ほど、王位戦のタイトル挑戦までを紹介しましたが、タイトル挑戦権は並み居るトッププロを倒し、たった一人しか手にすることができない狭き門です。私が想像しているよりもはるかに大変なことだと思います。そして、たくさんの山場をくぐり抜けた先のタイトル戦で負けてしまうというのは、いったいどれだけのショックがあるのでしょうか、これまた想像できません。木村九段はその敗戦をこれまでに6回も経験されています。その度に木村九段は起き上がり、タイトル初挑戦から何と14年後に初タイトル獲得となりました。タイトル戦で敗れたショックから立ち直る精神力、あきらめずに何度でも挑戦し続けるど根性。将棋に限らず生きていれば、何度かはしんどいなと思う時が来ることだと思います。それがどん底であったとしても、この木村九段のように、前を向いて這い上がって行く努力が大切なんだと改めて考えさせられました。

王位戦後の会見で、藤井二冠は、「強くなるという目標はどこまでいっても変わらないので、今回の王位戦も成長につなげていきたい」と話していました。物事がうまく進んでいても、藤井二冠は全く驕ることなく、前を向いて進み続けています。これは置かれている立場は違いますが、木村九段と同じです。成功を収める人、周りから尊敬される人は常に前を向き、努力を怠らない。見習わなくてはなりません。

将棋の勉強にと私は最近将棋アプリでAIと対戦していますが、現在16級でつまずき進めません。40級まであります。諦めずYouTubeを見て勉強し、今日こそ16級のAIに勝ちます。