最近、元気をもらった出来事     林 直毅

5月末に日本全国で緊急事態宣言が解除されたのを受けて、世の中の動きがゆるやかに元に戻りつつあります。国内のプロスポーツも、プロ野球は6月19日にセ・パ両リーグがようやく開幕しますし、プロサッカー1部リーグのJ1は7月4日より中断していたリーグ戦が再開されます。

しかし海外では、サッカーのドイツ1部リーグ (ブンデスリーガ) がすでに約1か月前の5月16日から、欧州のどの国よりも早く再開しています。NHKのBS1で、先月より週に2回ほど放送されるようになったので、知っている人も多いでしょう。
私はこの放送を毎回欠かさず録画して、観ています。もともとスポーツ専門のケーブルチャンネルで、イングランドやスペインなどの各国リーグを週末ごとに観て楽しんでいましたので、ドイツリーグの再開は、待ちに待ったものでした。

ただ、試合風景は “コロナ前” とは大きく様変わりしています。接触を少しでも避けるため、両チームの先発選手による試合前の整列はなく、握手もなし。いきなりキックオフとなります。そして無観客試合でシーンとした静かなピッチには選手や監督の声ばかりが響き渡る一方、ゴールの場面では選手どうしが抱き合うことはなく、ひじを突き合わせ、控えめに喜びを表すのみ。ひいき目に見ても、以前より盛り上がりに欠けるのは否めません。
けれども長い空白期間を経ての再開なので、ハイレベルなパス回しを目にするだけで楽しいですし、少し変なところもすべて濃厚接触にならないための配慮ゆえなので、観ていてなにか微笑ましく感じられます。また、ベンチにいる監督・コーチや選手が、所属クラブのロゴがデザインされたマスクをしていたりするのも、“コロナ後” の今を象徴していて、これからの応援グッズに各チームのマスクが加わりそうな予感がします。

リーグ戦の再開にはドイツ国内でも賛否両論があるようですが、入念な準備とこれ以上はないというくらい徹底した感染防止対策を講じていることから、欧州のサッカー関係者からは好意的な激励のメッセージが数多く寄せられているとのこと。私個人としても、再開の決断とその勇気に対して「よくぞ実行に移してくれた。ありがとう。」と拍手を送りたい思いでいっぱいです。ここ数ヶ月、あらゆることで自粛を求められているなか、「やればできる」という希望の光を与えてもらえた気がします。今後、感染の広がりで再び中断されることなく、全日程を終えることを願ってやみません。

これを読んだみなさんも是非一度、観てみて下さい。NHKのBS1で放送しています。