将棋界期待の星出現のニュースを見て 遠藤 徹

今年度初めての百人一筆です。こんにちは、高3担当の遠藤 徹です。

先日、南先生のブログで将棋の藤井聡太四段の連勝記録のことが言及されていましたが

私も、このニュースについて強い関心を持っていました。将棋というと、日本古来のボードゲームとして、古くから行われてきているもので、皆さんも一度はしたことがあるのではないでしょうか。将棋で勝つためには、次の手を考える「読み」が大切になりますが、将棋のプロ棋士は百手以上先の手まで「読む」力があると言われています。しかし、それでも可能な手をすべて読むことはできません。それに、時間に制限があるルールの中では、「読む」力だけでは勝つことはできません。プロ棋士は、盤面の状況に応じて、読む必要のある展開とそうでない展開を、読む前に直感的に区別する能力が備わっていて、それが強さの源泉だと言われています。そして、一手ごとに盤面の状況が複雑に変化していく中で、数万種類あると言われている戦略パターンを,瞬時に使い分けながら戦っています。その力は、「読み」のヒューリスティックス(不完全だが簡単で効率的な思考方法・発見的思考),空間計算能力(映像を変化させて思考する能力),ゲシュタルト認知能力(形を見て直感的に判断する能力)等と言われています。

さて、このような能力を必要とするものは将棋に限ったことではありません。他にも囲碁やチェスをはじめとする多くのボードゲームにも当てはまるでしょうし、私が教えている数学にもその力が必要となります。数学の問題を解くときは、それまで習ってきた知識(定理や公式など)をもとに、いかに答を導くかを考えます。その解法(将棋で使われる戦略パターン)を組み立てるのに必要なものが、上記で述べた直観力や洞察力のようなものであったりするのです。

私は、小学生の頃、よく友達や兄と将棋(その頃はテレビゲームなどはなかった)をして遊んでいました。そして、負けまいと、その当時の将棋界の名人だった「大山康晴」の著書「将棋必勝法」という本を自分で買って読んだこともありました。私は、決して将棋が強い方ではありませんでしたが、将棋を指すのが好きで,その頃の趣味でした。皆さんもそうだと思うのですが、自分にとって関心があるもの好きなものに対しては、誰かに無理やりさせられなくても、自分から興味をもって取り組んできたはずです。そして、それを極めれば極めるほど、もっと難しいものに挑戦し攻略してやろうと躍起になり、時間を忘れて没頭したことがあるのではないでしょうか。

本来、人間には誰でも、知らないことを知りたい、出来ないことを出来るようになりたいという願望があり、その為の「知識欲」や「向上心」を備えています。しかし、その知識を得ることが、自分にとって将来の生活のために必要な価値のあるものに変わったとき,それを継続していかなければいけないという「義務」が生じ、自分にとって負担になるものに変わってしまうことがあります。そして、そのときに必要な力が「精神力」であったり「心のあり方」であったりするのです。

今、将棋界で注目を浴びている藤井聡太四段は,14歳でプロ棋士になり,歴代新記録となる公式戦29連勝を成し遂げました。まだ中学生の身でありながら、プロ棋士として将棋を生活の糧とする厳しい世界に入ったことだけを考えてみても,優れた才能の持ち主であるだけでなく、大変な「努力家」であり、粘り強い「精神力」の持ち主でもあるように思われます。

ところで、信愛では明日から「期末試験」が始まります。皆さんの学習に対する「向上心」をもって,今まで蓄えてきた「知識」を遺憾なく発揮し、最後まで粘り強く試験に臨むことを期待します。