修学旅行 和田 由紀

高校二年生の修学旅行フランス第1班が、今朝無事に関空に帰ってきました。長旅での疲れもあるだろうからゆっくりと体を休めてください。そして思い出をゆっくり、じっくり味わって下さい。

修学旅行と言えば、私自身もはるか昔、小・中・高でそれぞれ忘れ難い数日を過ごしたことが思い出される。殊に高校では東北に行ったのだが、見事に4日間毎日雨だった。エメラルドグリーンの湖面をたたえるはずの蔵王のお釜も、松尾芭蕉が愛したという日本三景の松島も、雨でほとんど何も見えなかった。なのに、カラコロと音をたてて旅館の下駄をはいて土産屋に行ったこと、バスガイドさんが雨の不運を共に嘆いてくれたこと、友たちと秘密の語らいをしたこと、何もかもが走馬灯のように駆け巡る。毎日毎日通った高校生活の、そのたった4日間は特別な色彩を放った文集の1ページのようによみがえる。それが修学旅行の待つ力というものなのだろうか。