いよいよ受験も終盤を迎えようとしています。受験生の皆さんは、体に気をつけて、ラストスパート、頑張ってください。
ところで、東洋大学が毎年「現代学生百人一首」というものを募集し、この時期に入選作品を発表します。先日、本年度(第26回)の入選作品が発表されました。もう新聞やテレビでも取り上げられていますから、みなさんも知っているかもしれません。
今回は、その百首の入選作品の中から、受験に関係するようなものを5首だけ取り上げてみました。
「鍵盤に進路の迷いぶつけては未来の我をショパンに尋ねる(高校3年・十文字なつみ)」ショパンはなんかて答えてくれたと思いますか? もちろん、何も答えてくれなかったでしょう。「未来の我」は、誰も答えてくれないし、誰にも答えられないのです。「未来の我」は、「我」が切り拓いていくしかないものなのです。しかし、それでも、もちろん悩みは尽きませんよね。「薄い紙配られ悩む進む道書いては消してくコード番号(高校2年・高橋里奈)」。さらには「地図アプリ役に立たないこんな時『私の進路はどの道ですか?』(高校2年 内田みのり)」。みんな悩んで、悩んで、「未来の我」を探っているのです。けれども、どんなに悩んでも、結局明快な答えなんか出ないかもしれません。あるいは、出した答が間違っているかもしれないし、せっかく出した答え通りに進んでいけないかもしれません。
それでも、悩んで悩んで悩みながら、今できることを精一杯頑張るしかないのです。「角を折りぶ厚くなった参考書その厚さだけ夢にちかづく(高校1年・泉直伸)」そう信じて、頑張ってください。
ずいぶん厳しい話をしてきましたが、最後に、一つ心がほっとする作品を……。
「父に聞く自己推薦書の長所欄答えてくれた言葉に泣いた(高校3年・小曽根ゆり子)」
これは、苦しい苦しい受験の、ささやかな、けれども心が震えるほど嬉しいご褒美かもしれません。