南 正人先生

先日、文化庁から23年度に実施した「国語に関する世論調査」というものが発表されました。すでに新聞やテレビでも紹介されていましたから、知っている人もいるかもしれませんが、これはなかなか面白い調査なのです。
たとえば、「1歳上」を「1コ上」という人が56.9%もいるとか、
「腹が立つこと」を「むかつく」と言う人が51.7%、「のんびりする」ことを「まったりする」と言う人も29.0%もいる、などとあります。また、性別や年代別でも調査していて、「がっつり(しっかり、たくさん)」は、全体では21.8%だったが、男性の20代では73.2%の人が使っているし、「ハンパない(とてつもない状況、中途半端ではない)」は、10代の68%の人が使うのに対して、60代以上だと7%しか使っていない、などということもわかります。ねっ、なかなか面白いでしょ? これはインターネットで検索すれば簡単に見ることができるので、興味のある人は是非一度見てみて下さい。
言葉は変わっていくものですから、あまりヒステリックに苦言を呈することもないのかもしれません。(そう言えば、本居宣長も、「最近の言葉遣いはなっていない!」と文句を言っていました)。
ただ、「知ること」は大切なことだと思います。何も知らないまま、「みんな使っているから使う」というのでは、少しカッコ悪い気がします。「これは本来誤用だけれど……」とか「もともとはこういう言い方はしなかったのだけれど……」とかね。それをわかった上で、便利な言葉は使えばいいと思います。しかし、それと同時に「使わない」という選択権も大いに行使して欲しいと思います。
私は、最近の若者言葉が嫌いです。だから、「別にぃ、昨日どこに行ったかなんて、普通に言えるけどぉ」のかわりに、「昨日どこに行ったかを詳(つまび)らかにすることに吝(やぶさか)ではないけれど」と言うことにしています。
そんな高校生がいてもカッコ良いと思う。