カンボジア研修(2日目後半)

さて、研修2日目の午後からは、カンボジアの悲しい歴史を体感すべくキリングフィールドに向かいました。

現在はおっとりとして温かく、笑顔の素敵な方が多いカンボジアですが、ほんの50年ほど前貧富の差のない平等な社会を目指したポルポト政権下において150万人以上もの人が虐殺されたという悲しい歴史があります。ポルポトは「罪のない人を間違って殺すことは、罪のある人を殺し損ねるよりもマシである」という言葉も残しているそうですが、その思想のもとで多くの人が殺されたその一端を垣間見ることができる施設です。

世界でこのような悲劇が繰り返されないことを願って作られた記念塔や、


子どもを殺すのに刃物を用いることがもったいないという考えから子どもの足を持ち、頭を幹に打ちつけて殺すために用いられ、発見された時には、血がベッタリとついていたと言われるキリングツリーなど

次から次へと語られる凄惨な話は生徒たちの心に深く刻まれたことだと思います。現在の世界情勢を踏まえても考えさせられることは多かったのではないでしょうか。

その後は市街地に戻って「MAWSIM」というBarを開店前に訪問させていただきました。
Barとは一体何事かとお思いの方もいるかもしれませんが、実はこれも今回の研修の大きな目玉の一つです。
カンボジアと本学の縁(これはこの旅の後半でご紹介します)から生まれたクラブ、GACの今年度の活動と大きく関係しており、今回の訪問となりました。

このBarはもともと岐阜県にあるサンウエスパという企業が JICAと連携し、富栄養化によって巨大化し、東南アジア最大の湖トンレサップ湖の湖面を覆い、水上生活者の生活を脅かすホテイアオイを何とかできないかというプロジェクトに関係しています。現在この厄介者のホテイアオイを用いて生分解性のプラスティックで作られたビニール袋を作ろうとしているGACのメンバーが、MAWSIMさんがホテイアオイからエタノールを取り出し、それを用いてジンを作り、何と世界1のジンを作り上げたということを知り、その技術を教えてほしいと連絡を取って実現しました。今までネットの記事を参考に模索し続けていた生徒たちにとって、目から鱗となる様々な知識を惜しみなく教えていただくことができました。これで、彼女たちのプロジェクトも一歩前進しそうです。


マンゴーなどのフルーツを用いた白ラベルのジンとカンボジアペッパーなどの香辛料を用いた緑ラベルのジンの裏にある環境保全への思いと水上生活者の生活を守ろうとするストーリーには本当に感動しました。

その後は、市街地から少し離れたくっくま孤児院さんを訪問。
こちらはNPO法人グローブジャングル様が様々な理由で家族と暮らせない4歳から19歳までの子どもたちの生活や教育のサポートを行っている施設です。
まず訪問の記念として伝統音楽と日本の曲に合わせてダンスでお出迎えをしてくれたあとは、それぞれの自己紹介、そこからは自由交流。

生徒たちのところへ子どもたちが迎えにきてくれるとゲームやスポーツなどに誘ってくれました。
我々のように訪問する団体も多いからか、日本語もかなり理解している様子です。



何と私のところにも子どもたちが来てくれて、カードゲームをしたり、サッカーやバドミントンで汗だくにされたり、クメール文字を教えてくれるなどあっという間の楽しい2時間を過ごすことができました。
別れの時には、私にまでギュッと抱きしめてくれながら「先生、また遊びに来てね」の一言。
それぞれの生徒も貴重な時間を過ごしたようです。

ホテルに戻ると前園さんがクリスマスイブということで、特別ディナーを準備してくださっていました。
何とケーキまで。


理事長先生や校長先生からの生徒たちへのサプライズプレゼントも届け、それぞれの家族とは離れてではありますが、カンボジアで楽しいクリスマスイブを過ごすことができました。

以上、盛りだくさんで非常に充実した2日目でした。

さて、現在はアンコールワットのある都市シェムリアップへと向かう長距離バスの中です。
生徒たちは楽しそうに話したり、睡眠をとったりと思い思いの時間を過ごしています。