【オーストラリア語学研修】8月14日(水)更新(最終回)

【7. Farewell and Tadaima】8月14日更新(最終回)

月曜日は、現地の学校で、ホストファミリーを招いてのFarewell Partyが開かれました。生徒は手作りのプレゼントとメッセージカードを渡し、現地コーディネーターからプログラムの修了証書をもらいました。密度の濃い2週間を過ごした人たちとの別れは、笑いと涙に包まれた素敵な会となりました。

出発の日はワイルドライフパークやパース市内の観光をした後、夕方の便でパースを発ちました。そして本日、無事に関西空港に帰還しました。生徒たちは疲れが見えるものの、行きとは違った充実の表情が見て取れます。口をそろえて「楽しかった」と述べる様子には、何やら頼もしさが漂います。

自分がいる心地よい場所からあえて飛び出すことで、始めて自分の存在を見つめ直すことができるものです。家から離れて、日本から出て、そこで初めて何か別の大きなものとの「つながり」のようなものを感じ取ることができます。

今回の語学研修を成功させるために、日本の家族、学校、現地の学校、日本の旅行会社、現地のコーディネーター、ホストファミリーと、本当にたくさんの人がそれぞれ参加者のために力を尽くしてくれました。たくさんの人に支えられ、自分に何ができて何ができないかを多く知ったことでしょう。自分が何者か、自分の生きる世界がどのような世界なのか、新たな立脚点を手に入れた人もいるでしょう。

外国語でのコミュニケーションはうまくいかないことの方が多かったでしょう。外国語力はたった2週間の海外生活でどうにかなるものではありません。引率教員の私でも英語のやりとりに苦労する場面が何度もありました。

現実的には、この研修に参加するにあたって、少なからぬ金額のお金がかかっています。参加者はその分、移動、食事、体験などのサービスを受け取っています。それはサービスに対する正当な支払いです。ただ、この研修を2週間のものだけで終わらせるのはそれこそ、ただの「お高い買い物」に過ぎません。

この価値のある(valuable)体験を、もっともっとかけがえのない重要な意味のある(invaluable)にしていくのは、これからの皆さん行動次第です。今回の経験を何年か、何十年かあとに振り返ったときに、「あのとき行って本当に良かった」と思えるように、これからの日々を送ってほしいと思います。研修はこれで終わりですが、その研修に新たな意味を与えることは、まだまだできるものです。

郊外のワイルドライフパークで、本物のコアラと記念撮影。
オーストラリア的ヘビを持って記念撮影
ファームショーを観覧した後、オーストラリア的牛の乳搾り体験をしたり。
カンガルーに餌をあげたり。奈良公園の鹿よりも、餌に執着心のないカンガルーたち。
パース市内の観光通り「ロンドンコート」の前で記念撮影。
スワン川をバックに写真撮影。和歌山で言う紀ノ川でしょうか。

[クイズコーナー⑦]

Q1. 英語のイディオムに “kangaroo court” というものがあります。どんな意味でしょう。

Q2. パース市街にある観光通り、「ロンドンコート」の入り口には次のような看板が書かれています。

  YE LONDON COURT.

ここにある、YE は現代の標準語では、どの単語に相当するでしょう。

前回のクイズの答え:
「引く」なので、draw です。古い英語では <w> と <h>(現代語では<gh>)の文字はしばし交替が起きます。see の 過去形が saw で、名詞形が sight になるのも同じような事情です。

今回のクイズの答え:
Q1.  kangaroo court は「いんちき裁判」という意味です。

Q2. ye は現代語の the に相当します。古英語ではルーン文字に由来する þ を 今の<th>として使っていましたが、この þ を手書き風にすると y と区別が付かなくなっていきます。そうして古風な英語では the を ye で綴ったりしました。

この記事は今回が最終回です。ごきげんよう。

 

 

 

【6. Last Day at School】(8月12日更新)

オーストラリア語学研修は、本日が学校で過ごす最後の日です。午前中は週末にあったことなどのトークセッションがあり、その後はホストファミリーへのプレゼント制作に取りかかっております。

本日は途中でスーパーマーケットに買い物に行く機会がありました。日本とは異なるスーパーの買い物ルールは生徒にとっては新鮮だったようです。バッグいっぱいにお土産のお菓子を買い込む生徒もいました。

本日の夕方はホストファミリーを学校に招待してのお別れ会が開かれます。生徒も何か出し物をするようになっています。『アナ雪』の歌を最初から英語で歌い、サビからいきなり日本語に変わるというフリを効かせたパフォーマンスを私は提案しましたが、生徒の反対によりボツになりました。これを《LET IT ままで》案ととりあえず呼んでいます。信愛の校歌を歌うことになるのか、それとも?

明日は朝早くから地元の動物園に行き、オーストラリア的動物たちを見ることになっています。その後パースの街中をしばらく散策した後、いよいよ午後の飛行機でこちらを発ちます。

ホストファミリーへの手作りギフトを各自が思いを込めて作ります。
色紙とマグネットで作ったプレゼント。
スーパーで買い物をする生徒たち。
スーパーマーケットの前で写真を撮る謎の集団、と地元の買い物客には思われたことでしょう。
生徒がプレゼント製作に取り組む間、引率教員はオーストラリア的動物のイラストを量産します。

[クイズコーナー⑥]

「生ビール」を表して日本でも「ドラフトビール」と言ったりしますが、オーストラリアでは、アメリカ式の draft ではなく、イギリス式の draught という綴りを使います。draft も draught も発音は同じです。laugh の綴りと発音を考えると受け入れられるでしょうか。この単語は皆さんも知っているであろうある動詞と語源的に関連しています。dr- で始まるその動詞とは何でしょう。

ヒント:プロ野球の「ドラフト会議」では、代表者がくじを、○○。

(前回のクイズの答え:Lest は「~しないように」です。Lest we forget で「忘れることがなきよう」という意味です。この lest という単語は古英語の þy læs þe [=the less that]「それだけいっそう少なく~」という成句に由来する、すべての英語好きを魅了する単語です。Lest we forget の動詞は、仮定法現在という、これまた稀な語形になっています。)

 

 

 

【5. Assembly】(8月9日更新)

学校で過ごすのも5日が経ち、それぞれ慣れたことや、まだ慣れないことがたくさんある今日この頃です。

本日の1限は、まもなく卒業を迎える12年生(日本で言う高校3年生)が主催する全校集会に参加しました。全校集会と言えば、日本と同じく普通はお堅い感じの会らしいですが、今回は卒業スペシャルということで特別な集会とのことです。

生徒はバグパイプの演奏に迎えられて体育館に入場し、最上級生のパフォーマンスを楽しみます。全体は最上級生が作るラジオ番組風の構成で、番組ごとにパーソナリティーが変わり、何かと盛り上げたり笑わせようとしたりします。先生を巻き込んだおもしろ動画や、クイズコーナーなど、信愛の文化祭でも見かけるような光景が広がっていました。

スラングやジョークに溢れた英語は、信愛の生徒にとっては理解するのが難しかったでしょうが、動画のパフォーマンスなどは、言語がわからなくても楽しめる要素もたくさんあったようです。

それ以外ではオーストラリアのスラングやイディオムを勉強したり、ホストファミリーへの感謝状を書いたりしています。recessというスナックタイムやランチタイムの楽しみ方も板に付いてきております。

月曜日がこちらの学校で過ごす最後の日です。後悔なきよう過ごしてほしいですね。長旅の疲れや慣れない環境での生活で体調を崩す生徒も何人かいますが、できるだけ今日中に回復して週末をホストファミリーを楽しめることを期待します。

学校や活動中の生徒の写真は現地の学校による制限があるため掲載できませんが、当たり障りのない風景をいくつか載せておきます。想像を膨らませてみてください。現地の学校名は Presbyterian Ladies’ College, Perth です。どんな学校か気になる方は、検索してみてください。西オーストラリア州でも最も高級な学校とのことです。Wow!

The boomerangs designed by the students.
Popular Aussie snacks. Students have a recess time to eat these snacks between the 2nd and 3rd periods.
The boomerang designs and a platypus drawn by me.
A seagull and quokkas, the cute animal that lives on Rottnest Island, 30 minutes from Perth.
The Indian Ocean and greedy seagulls.

[クイズコーナー⑤]

初日に訪れたキングズパークでは、パースから世界大戦に出撃し帰って来なかった人々の慰霊碑があります。そこの碑文では以下の英語が見られました。

  Lest we forget.

どんな意味でしょう。これが戦死者を悼む慰霊碑であるというのがヒントです。接続詞 lest の意味は英語上級者でも難しいですが、この機会にぜひ覚えてほしいものです。本日は長崎原爆の日ですが、この言葉が多くの人の心に響く一日になるでしょう。

(前回のクイズの答え: A lollies,  B pants, C servo)

 

 

 

【4. Learning Aboriginal Culture】(8月7日更新)

オーストラリアの語学研修は現地の学校で過ごすのが3日目に突入しました。このプログラムももう少しで折り返し地点です。本日は少し特別なプログラムを用意してもらっています。

参加者たちは、アボリジニにルーツをもつ現地の生徒たちと交流をしています。アボリジニは6万年以上の歴史をもつ、世界で最も長い歴史を持つ民族とされています。朝はアボリジニの伝統的な踊りのパフォーマンスを見て、その後、彼女たちと交流の時間が取られました。

残りの時間は、アボリジニの伝統的なブーメランの制作に取りかかっています。一つ一つのシンボルの意味を現地の生徒に教えてもらいながら、思い思いの絵柄をデザインして、ペイントしています。カンガルーを大胆に描いたものや、独特のシンボルを組み合わせたものなど、各自が嗜好をこらした作品を作っています。

[クイズコーナー④]

世界には様々な英語のバリエーションがありますが、オーストラリアも独特の単語を使う場面があります。どちらかというと、発音も語彙もイギリス英語との共通点が多いですが、アメリカ英語と同じであったり、オーストラリア独自の単語を使う場面も多いです。次の空欄にはどんな単語が入るでしょう。

「キャンディー」
米 candy
英 sweets
豪 [      A      ]

「ズボン」
米 pants
英 trousers
豪 [      B      ]

「ガソリンスタンド」
米 gas station
英 petrol station
豪 [      C      ]

(前回の答え:パースからシドニーまでは飛行機で4時間かかります。時差は3時間です。パースの時間は日本より1時間遅いですが、シドニーは日本より1時間早いことになります。)

 

 

【3.Going to School!】(8月5日更新)

週末をホストファミリーと過ごした参加者は、いよいよ現地の学校に通っています。週末は水族館に行ったり、海に行ったり、家族のスポーツの試合に行ったり、買い物にいったり、思い思いに楽しく過ごしたようです。

注意:こちらの学校は写真が厳しく制限されているので、活動中の写真はありません。想像を膨らませてください。

平日の活動は、大体次のような感じです。

1~3限 英語のレッスン
4~6限 バディと共に現地の授業

学校には小学生から高校生までの生徒が通っています。信愛と同じくカフェテリアがあり、聖堂がある洗練された建物です。朝は9時までホームルームがあり、1限が9時から、45分間というのも同じです。現地の生徒は濃いグリーンの制服を着ています。スカートもズボンもありますが、どちらも柄はタータンチェックです。朝は教会の前でバグパイプの練習をしている生徒たちがいました。全体的にスコットランド風の建築や服装になっているみたいです。

こちらの学校では生徒たちが各先生の教室に移動します。教室の入り口は先生の趣味が遺憾なく発揮された掲示物が飾られています。4限以降は、各生徒が自分のバディ共に、各授業に参加しました。もちろん、学習内容が難しいので理解は大変ですが、なんとかできることを探してやっています。そういう経験も必要です。数学や理科の授業では、こちらの同性代の生徒たちが学んでいる内容がが難しいと感じた生徒が多かったようです。日本にはない「演劇」や「フランス語」の授業に参加した生徒もいました。

初日ですので、バディとの連携もまだわからないこともありますが、「初日はいつもこんな感じよ」と現地コーディネーターも励ましてくれています。

平日はこのように語学研修をしつつ、本物の海外の学生生活を体験する日々です。今後の成長に期待です。

[クイズコーナー③]

Q. パースからシドニーまでは飛行機でおよそ何時間かかるでしょう。

A. 2時間
B. 4時間
C. 6時間
D. 8時間

(前回の答え:A ケアンズ、B ブリスベン、C シドニー、D キャンベラ、E メルボルン、F パース。首都はDのキャンベラです。)

 

 

 

【2. パース基本情報】(8月4日更新)

ホームステイ中の生徒たちは、週末を各家庭で過ごしています。それぞれの家庭で何をしたのか、気になるところです。どの家庭も、日本から和歌山信愛の生徒が来るのをとても楽しみにしていました。きっと充実した週末になったことでしょう。明日からいよいよ現地の学校に通います。英語のレッスンやその他いろいろな活動を用意してもらっているようです。果たしてその内容やいかに。

出来事は特にないので、パースの基本情報をお伝えしておきます。

南半球では日本と季節が逆になるので、オーストラリアは真冬です。とは言っても、最高気温は20度前後まで上がるので、半袖の人もいるぐらいです。最低気温は10度前後です。快晴の日の夜はやはり冷えます。日本の10月から11月ぐらいの気候のような感じでしょうか。先週まで雷雨と強風の日が多かったそうですが、この週末は快晴でした。

パース都市圏の人口は約200万人ということで、中心部はずいぶん都会です。しかし一歩離れると閑静な住宅地やのどかなビーチが広がる静かな街です。大きな川が流れて海に面しています。ビーチがあり、港があり、フェリーがあり、電車が走ります。なんとなく和歌山市とも地形が似ています。他民族国家であるため、英語以外にも町中では様々な言語が聞こえてきます。日本語話者もたくさん見かけました。

こちらに来てまず衝撃的なのは、物価の高さです。前回の投稿でフィッシュアンドチップスの食事風景の写真がありましたが、あれが28ドルです。大体$1=100円と考えてください。(生徒の食事は基本的にすべて参加費に含まれているのでご安心ください。)

世界的な物価高の影響で現地のあらゆる物資が高騰しているからでしょうか。海外研修に参加するからには、世界をしっかり見て、日本と世界で今起きていることを関連付けて捉えることができるようになって欲しいものです。そして、そんなご時世の中で受け入れてくださっているホストファミリーと、送り出してくれた日本の家族に感謝を忘れずに、多くのことを吸収できたらいいですね。

[クイズコーナー②]

Q. 下の図はオーストラリアの主要都市です。パースはどこでしょう。また、オーストラリアの首都はA~Fのうちどれで、その都市名はなんでしょう。

(前回のクイズの答え: D. Perth)

 

 

【1. 語学研修開始!】(8月2日更新)

昨夜遅く、関西空港を出発し、オーストラリアのホームステイプログラムが始まりました。

長時間のフライトと乗り継ぎで疲れも見えますが、無事到着しました。現地コーディネーターの方と合流し、まずは街の中心部を通りセントラル・パークという大きな公園でフィッシュアンドチップスの昼食を取り、その後は公園内を散策しました。夕方、月曜日から通う学校を訪れ、そこからホストファミリーのお家に各々向かっていきました。

 

週末はホストファミリーと何するかな?
またの更新をお楽しみに。はあ〜つかれたね〜。

[クイズコーナー]
Q : 今回の滞在先はオーストラリア西部最大の都市「パース」ですが、英語ではどう綴るでしょう?

A. Pearce
B. Parce
C. Parse
D. Perth

答えは次の更新で!