本校の高校2年生2名が、3月14日(月)に首都大学東京で行われた日本天文学会の第18回ジュニアセッションで発表を行いました。
本校では、この2人と高1生2人合わせて4人で1月初めから「はやぶさ2」の研究を行っています。
背景を少し紹介させていただきます。数年前、小惑星探査機「はやぶさ」初号機が小惑星イトカワに行って戻ってくる(サンプルリターン)という偉業を成し遂げたことをご存じの方も多いのではないでしょうか。その2号機が「はやぶさ2」で、2014年12月に打ち上げられました。そのはやぶさ2が昨年12月3日に地球スイングバイを行いました。これは、重力によって地球に引っ張ってもらうことではやぶさ2が加速と軌道変更を行う操作です。その時の様子を和歌山大学が電波望遠鏡で追尾して観察していました。その後、和歌山大学から本校に貴重なデータなので一緒に分析しませんか、という打診があり喜んでお受けさせていただくことになった次第です。
1月に初回の集まりがあったのですが、当面の目標は3月14日の天文学会での発表です。とは言え、生徒4人+教員2名(佐藤、吉田)は誰もはやぶさに詳しくありません。この2ヶ月の間、我々教員とともに生徒たちは必死に頑張りました。その結果を発表したという流れです。
ジュニアセッションではポスター発表と口頭発表を行いました。今年はとても参加者が多く、大変な中よく頑張ってくれました。
午前中のポスター発表では、数あるグループの中から本校の発表を聞きに来てくれた方が多数おられ、特にJAXA職員の方が多数いらっしゃいました。
午後の口頭発表もやはり参加者多数のため、1グループあたりに与えられた時間はわずか1分です。1分しかないならその1分を最大限に生かしてやろう、ということで我々が目をつけたのが漫才でした。
発表者2人の役割を明確に分け、一方は観客が抱きそうな質問をする側、他方がそれに答えて説明する側に分かれました。学会なので笑いは取らないけど、「ボケとツッコミ」の精神ですね。与えられた時間と聴衆の年齢層などを考え、とにかく印象に残らせることを目標としました。
発表後の短い質疑応答の時間には2件もの質問を頂き、しかも翌日東京の名門T高校(SSH、SGHの両方に指定されている学校です)の先生からメールを頂くことが出来ました。T高校さんとは今後も情報交換を続けていければ幸いです。
始まってたった2ヶ月ですが、たくさんの成果を得られたと考えています。まず、生徒たちの成長。計算や発表の仕方について我々から多少のアドバイスはしましたが、その後は言われたことを自分達で解釈し、自分達で発表まで持ってくることが出来ました。次に、天文学会の人混みを経験したこと。教科書で学ぶ勉強を超えたところで、こんなにたくさんの中高生(中には小学生も)が参加していることがよくわかりました。後輩たちにも是非伝えていきたいと思います。そして、他校との交流のパイプが出来たこと。現地に足を運ぶことでお知り合いになれました。この交流がどこまで発展するか楽しみです。
実は本研究はこれで終わりではなく、主メンバーを高1生にバトンタッチして、8月の学会に向けて更にブラッシュアップしていきます。応援よろしくお願いします。
最後にこのようなすばらしい機会が与えられたのは、ひとえに秋山演亮教授をはじめとする和歌山大学の先生方のおかげです。この場をお借りして感謝申し上げます。
文責 吉田 晋
追記 天文学会に関する記事はこのページのほか、「百人一筆」および「スーパーグローバルハイスクール(SGH)」のコーナーにも掲載しています。是非あわせてご覧ください。