絶望へのみちすじ   中 めぐみ

NHKのテレビ番組に「100分de名著」という番組があります。「誰もが一度は読みたいと思いながら、なかなか手に取ることができない古今東西の名著を1か月に1冊、25分×4回=100分で読み解く」という内容の人気番組です。毎月様々な書物が取り上げられるなか、5月は哲学の三大難読書の一つといわれるドイツの哲学者・ヘーゲルの「精神現象学」が扱われます。しかも、指南役は自著がベストセラーとなり話題の東京大学准教授・斎藤幸平さん!ヘーゲル哲学は何度か手に取ってみたものの難しく、挫折を繰り返してきたので、放送予定を知った時からわくわくし、テキストを購入し、予習をしながら視聴しています。

本日が第2回の放送となりますが、前回の放送から興味深かった部分を紹介します。

・「絶望へのみちすじ」 ―みずからを疑うことで成長する

自分を疑って自分の間違いに気づくこと。例えば、「空を太陽が動いている」と思っていたけれど、理科の授業で天体について勉強し、自分の感覚的知を疑い始め、自分が確信していた「真理」が単なる「思いなし」「先入見」だと気付く。正しいことに気づくということは、「自分自身を喪失」し、自分こそが「真理」だとおもっていた「かつての自分」と決別し、新しい自分と新しい知を獲得することである。

4月から新しい学年がスタートし、各教科で様々な新しい知識を学ぶ日々だと思います。自分が正しいと思っていたことが正しくなかったというショッキングな経験が、意識にとって成長の糧となる、といいます。GWが終わり、中間テストも近づいています。良い成績を取ることももちろん大切ですが、信愛生の皆さんには、是非日々の勉強を通して多くの新しい知識と出会い、新しい自分を獲得していってほしいと願います。