南 正人

今日5月23日は「世界亀の日」なのだそうだ。どういう経緯で制定されたのかは知らないけれど、「亀について知り、亀に敬意を払い、亀の生存と繁栄のための人間の行動を奨励する日」だという。
「亀の生存と繁栄のため」僕にどんな手助けができるのかよくわからないけれど、「亀について知り」ということについて、僕には積年の疑問がある。
というのも、僕の家の近くには「亀川」という名前の川があって、名前通り亀がたくさんいるのだけれど、その亀について「台風なんかで川が増水した時、彼らはいったいどうしているのだろうか」ということである。
魚ならわかる。きっと流れの緩やかな場所でじっとしているのだろう。でも亀は肺呼吸である。水面に息をするために出て来なければならない。いくら息が長いといっても二日間一呼吸もしないなんていうのは無理だろう。でも、増水した川で必死になって「亀カキ」をしながら息継ぎをしている亀を僕は見たことがない。あるいは、仮死状態を自ら作り出すことで、呼吸を抑えているのかもしれない。しかし、あの激流である。仮死状態になった瞬間に流されてしまうのではないだろうか。嵐の去った後に大挙して下流から川を上ってくる亀の集団なんて僕は見たことがない。もしくは、亀の世界にも小学校の体育館のような避難場所があって、川が増水してきたら、とりあえず身の回りのものだけ持ってそこに集まるのかもしれない。けれども、増水した川の近くで、多くの亀が退屈そうにごろごろしている姿なんて見たことがないし、とにかく「亀川」の亀の数はものすごいのである。それらが一堂に避難できる体育館的場所なんてあるはずがない。しかも川堤はコンクリートで塗り固められている。どう考えても逃げ場はないように思うのだけれど……。
僕は「生き物」が好きだ。昔「野生の王国」という今の「ダーウィンが来た」みたいな番組があって、夢中になって観ていたし、「ファーブル昆虫記」も大好きだった。動物行動学者の日高敏隆や河合雅雄などの本もよく読んだ。「生き物」の意表を突く生態に興味があるのだと思う。だから、「川が増水したときの亀の避難方法」にも、何か特別な必殺技のようなものがあるのではないかと期待しているのである。

新年度を迎えて、2ヶ月が経とうとしています。様々な場面で行き詰まりを感じる頃かもしれません。しかし、そんな時には「生き物の生態」を知ることが何かあなたの救いになるかもしれません。何しろ彼らはぶっ飛んでいますから。あなたの鬱々とした悩みもぶっ飛ばしてくれるかもしれません。
そうは言うものの、今日は中間試験の初日です。読書などしている場合ではありません。ましてや、たとえ息抜きであったとしても、こんな文章を読んでるなんてもっての外です。寸暇を惜しんで、「亀」のようにゆっくりでも着実に勉強しなくてはならない時に……。
不覚にもここまで読んでしまった人は、無駄な時間を過ごしてしまったことを反省して、猛烈に巻き返してください。中間試験、頑張れ。