本日は授業参観でした。密を避けるということで、保護者の方には時間を分けてお越しいただきました。お越し下さった保護者の皆様方、ありがとうございました。
私は自分のクラスで現代文の授業を見ていただいたのですが、高3ということもあり、問題を解く時間が長くて申し訳なかったです。今回生徒たちが読んでいた文章は「文字」についての文章でした。答え合わせはまだ途中ですが、なかなか苦戦していた様子。
最近の現代文の問題は、複数の文章を組み合わせて読ませる問題が多いのですが、今回もその形式でした。その文章のうちの1つが中島敦の『文字禍』という小説です。「コロナ禍」の「禍」ですので、「文字禍」というのは「文字によって引き起こされる災い」ということでしょう。生徒たちにも話したのですが、「文字」によって「災い」が起きる、というのは考えたこともないと思います。小説の中では「文字を覚えてから咳が出る・くしゃみが出る・しゃっくりが出る」などと人々が話します。多分読んでいる人は「そんなことあるはずないやーん」と思うでしょう。
小説の中にも出てくるのですが、これは「文字ができる以前は起こったことが直接人間の中に入ってきていたのに、文字によって定義された範囲のものとして認識している」ということでしょう。「咳」「くしゃみ」「しゃっくり」という文字を覚えることで、「咳とはこういうもの」という観念が私たちの頭の中にできあがります。「これを咳というんだ!」と認識するので、「文字を覚えてから咳が出る」と感じる人がいるわけです。このように文字によって世界の認識が狭まっていることを「文字禍」として表現しているのだと思います。
ただ、文字によって定義されるものを私たちが認識する、という点においては、前向きな言葉をそのようなものだと思って受け取ることで、その定義に乗っかっていくこともできると思うのです。自分に「大丈夫!」「できる!」と言い聞かせるように。
言霊信仰みたいですが(わからない人は調べてね)私はこれは結構効くなぁと常々思っています。ポジティブな言葉を使っていると、だんだん気持ちがポジティブになってきます。
ちょっと落ち込んだときには「できる!」「やるぞ!」と自分に言い聞かせるとともに、目標やなりたい自分像を文字にして書いてみるのもいいかもしれません。
高3生はわかば祭も終わり、本格的に勉強モードに切り替える時期となりました。自分に自信を持って、自分を元気づける言葉を使ってみて下さいね!