有限な時間の中でやれること 森川佳紀

最近、急に冷え込みましたね。体調など崩していませんか?

高校3年生の皆さんは入試も近いので、体調管理をしっかりとして万全な態勢で受験勉強に臨んでくださいね。

「一週間に与えられた時間」について、みなさんは考えたことがありますか?

学校にいる時間だけで考えると、月~金曜は一日約8時間、土曜は約5時間滞在しているわけですので、一週間に約45時間学校にいることになります。
では、家にいる時間はどれだけでしょうか?睡眠時間やお風呂、ご飯などの生活に必要な時間は大体9時間くらいでしょうか。そう考えると、平日で宿題や遊びに費やせる時間は、約7時間となりますね。どうでしょうか。多いと感じるか少ないと感じるかは人それぞれでしょう。

みんな同じ時間の中で過ごしているのに、宿題ができなかったり小テストに不合格だったりするのはなぜでしょうね。

僕は以前メーカーで務めていて、その時の同僚に本当に優秀な人がいました。当時「僕とあの人は社内にいる時間は同じはずなのに、どうしてあの人はあんなに仕事をテキパキと早く終え、僕よりも多い仕事量をこなせるのだろうか」と思い悩んだ時期がありました。
その人は仕事だけでなく、プライベートも充実させていて、本当に時間は皆等しく与えられているのだろうかと疑うほどでした。笑

一緒にその人と仕事をしていて感じたことは、同じ1時間でも仕事を進めるスピードが桁違いに違うのです。その人は僕よりも2年ほど先輩だったので経験の差によるものもあったとは思いますが、一番違ったのは仕事を行うまでの段取りする過程が違いました。

まず、何をやらなければならないかを描き、そのためには何をするべきなのかを洗い出してから仕事に取り掛かるのです。
当時、仕事を覚え始めた僕にとって、仕事の全体像が見えずに目先のことを文字通りするだけで精一杯でした。

どうでしょうか。これって勉強にも当てはまると思うし、勉強する中で身につけるべき力だと思うんです。
「段取り力」とでも言うのでしょうか。僕はよくテストが近づくと生徒に「全体のスケジュールを立てるように」と言います。
小さい頃に色塗りをしたことはありますか?色を塗るときは、端から塗り始めて、全体をまずは把握してから塗るものです。
家を建てるときは土台である基礎固めをしっかりしてから建て始めます。後から土台を修正するのは難しいのです。

行きあたりばったりで勉強しても、当時の僕のように「目先の勉強」はできても全体が見えていないから力になりにくいし勉強の効率が悪いのです。
宿題をただするにしても、全ての宿題に思いを馳せてそれぞれの宿題を天秤に掛けた上で、学校で先生に質問をしてから解いたほうが良いのか、眠い目をこすりながら今やったほうが良いのか、考えることができるのです。

計画を立てるのが上手い人は、こういったことを無意識にやっているのです。そして、そういう力は社会に出てからも絶大な力を発揮します。
数学なんか将来なんの役に立つの~?なんで数学勉強せなあかんの~、なんて言っているのをたまに目にしますが(主に中学1年生)そういう段取り力を鍛えたり、論理的な力をつけたりするのに非常に効果的なんですよ、数学って。今はまだ分からないかもしれませんが。

今はまだ分からないだろうけど。っていう言葉はあまり好きではないのですが、本当にそうなのだからそう言うしかないんです。
僕自身、中高時代に「今はまだ分からないだろうけど~~」なんて言われて納得できなかったと思うのです。
ですが、そこは信じてもらうしかなく。愚直に真面目にやっていれば、いざ振り返ったときに輝かしい道を辿っていたんだなぁと実感するものです。
もちろん、信じて努力した人にしか分からないので、シュレーディンガーの猫状態ですが。

まぁ、とにもかくにも限られた時間の中で効率よく物事を進めていくには「全体像の把握」をして、どういう順番でやっていくかを考えることが大事ということです。