「いいノート」とは – 吉田 晋

(前記事の内容を前提にしています)
例えば1ヶ月かけて1冊の本を読んだとしても、半年もすれば内容を忘れてしまいます。そんなとき、手元に「いいノート」を作っておけば、ノートを読み返すことで内容を思い出すことができます。これなら1時間で終わります。また1ヶ月かけて読み直すなんて時間の無駄ですよね。実際は忘れたと思っても何もかもすっかり忘れているわけではなく、少し刺激を与えてやれば多くのことを思い出すものです。その「少しの刺激」が与えられるノートが「いいノート」ということになります。

ではどうすれば「いいノート」が作れるでしょうか。

そのカギは、1巡目にあります。実は1巡目に読むときに「詳細がわからなくてもスルー」と書きましたが、わからなくてスルーする箇所には必ず付箋を貼っておきます。この付箋を貼った箇所を中心にノートに記載しておきます。経験上、最初にわからなかったところは、時間が経つとまた同じようにつまづくものです。つまり付箋の箇所は自分がどこでつまづきやすいかの情報の塊ということになりますので、それをノートに書いておくということです。もちろん1巡目スルーした項目は最終的には徹底的に考えて、わからないことをきちんと解決した上で、問題点と解決策をノートに記載しておきます。

写真はある本を1巡目に読んだ後(左)と最終の姿です。1巡目でたくさん付箋が貼られているのがわかると思います。付箋の箇所をノートに記載したら付箋を剥がしていきます。だんだん付箋が減っていくのが快感です。ただ、どうしてもまだ納得が行かないところの付箋は残してあります(「わかったふり」をしない)。

前述の通りノートを見返しながら何度も復習します。復習するうちに書き直したくなることも多々あります。だから私は手書きではなくワープロソフトを用いてパソコンでノートを作成します(私はMacのPages を好んで使っています)。デジタルのノートをiPad に入れておけば、持ち運びも楽ですね。また、紙に印刷したものには、手書きで追加事項を書き込みやすいように適当な余白を空けながら編さんしていくことにしています。

ノート作成の上で大事なことをもう一つ。ノートを作成するとき、ついつい「あれもこれも」大事なことを書こうとしてしまうのですが、実は「何を書くか」より「何を書かないか(削るか)」の方が大事だということです。内容がわかっていないときは何でもかんでも大事であるように見えてくるのですが、よくよく考えてバッサリ切り落とし、本当に大事なことだけを書きます。この作業をすることでより理解が深まります。ノートの分量は本のページ数の1/10かそれ以下を目安にします。そのために、ノートには項目や短いまとめを中心に記載します。より詳しいことが知りたければ、直接もとの本に戻って読めばいいからです。だから長くなりそうなときは詳細を省略し、本の該当箇所のページ数を書いておきます。

ノートが本のコピーであっては意味がありません。そこには本にはない価値が必要です。つまり、ノートは自分専用のものですから、自分にとって最も使いやすいようにカスタマイズすべきです。私は自分がよく理解していないこと、ついつい忘れてしまって何度も参照することになる事項をコンパクトにまとめたノートを目指しています。「あれ、具体的にどうすればよかったっけ?」って悩んだとき、「あの本かな?」「この本かな?」と何冊もの本のページをめくって探すのは時間の無駄ですし、イライラします。こんなとき、該当箇所をパッと検索できるノートがあると心強いですね。

本来自分専用で人様に見せるものではないのですが、せっかくなので具体例の写真を添付しておきます。

「いいノート」なんてえらそうな書き方をしましたが、あくまでも私個人の経験と価値観に基づくものです。みなさんも各々にとっての「いいノート」の作り方を研究してみてください。