ちはやぶる神世も聞かずたつた河から紅に水くくるとは
紅葉の名所で有名な竜田(たつた)川の水面が、落葉した紅葉によって真っ赤に染まっている光景を詠んだ在原業平の名歌です。ちょうど今、中学二年生は国語の授業で古今和歌集について学習し、この歌を学びました。小倉百人一首にも入っており、競技かるたにかける青春を描いた漫画のタイトルにもなっている有名な歌です。
さて、この歌を初めて読んだ時、「おお~、なんとも美しい紅葉の風景だ!」と想像できた人は一体どれくらいいらっしゃるでしょうか。「何言ってんのだろう…?」となりませんでしたか?
授業では、「ちはやぶる」「神世」「たつた河」「から紅」「水くくる」などの言葉についての説明に加えて、「たつた河」が赤く染まるイメージをもとに「鶏の竜田(たつた)揚げ」という料理名ができたとか、「から紅」は「唐」の紅=外国から来たハイカラでおしゃれな色などと、いろいろな角度からの解説をして、風景が思い描けるように手助けします。
そして、一度イメージできれば、次からこの歌を読むたびに、美しい紅葉の風景が脳裏に広がるわけです。これが、「学習」のもつ素晴らしい力だと私は思っています。学んだことが自分の中に取り込まれ、ものを見る目が新しくなる。たった三十一音の言葉から、無限にイマジネーションを広げ、千年前の人と、(もしかして)未来の人とでも、同じイメージを共有し、感動を分かち合える。「学んでよかったな~」、そんな喜びをしみじみ感じながら、信愛生の皆さんには期末テストの勉強に精一杯励んでほしいと思います。
さあ、いよいよ明日は期末考査時間割発表です!