ご飯たべたことある?「いのちをむすぶ」佐藤初女著より    齊藤恭子

おむすびを食べて、自殺を思いとどまった人がいるという。
そのおむすびの「握り手」は佐藤初女さん。
初女さんは「食べることはいのちをいただくこと」と考え、青森県に森のイスキアを開設し訪れる人に心を添わせ、食事を供す活動が映画「地球交響曲第二番」(1995)に取り上げられました。

著書の「いのちをむすぶ」には
「秋 いのち響きあうとき おむすびの祈り 一粒一粒のお米を生かすようにただ無心に握っているだけ ともに感じて 揺れていい そのまんま 心添わせて そーっと 食はいのち おいしくいただくことで食材のいのちが生かされ人も生かされるのです。」といったことばが……。

お米の一粒一粒へ 🍙おにぎりを食べる人へ
命を差し出すものと受け継ぐ者
どちらにも心を添わせる初女さん

私は一度、森のイスキアを訪れたことがあります。
もう既に90歳を超えた初女さんは、丸く穏やかにまどろんでらっしゃいました。
本来、食事の予約を入れて伺うところを、私にはほんの少しの滞在時間しかなくて……。
けれど、どうしても、建物にだけでも近づきたいと思いイスキアのそばまで行きました。
すると、スタッフの方はお茶とお菓子を振る舞い、優しく迎え入れてくださいました。
そして、「冬が過ぎ、春にイスキアを開く時、屋根にはこんな風に雪が積もっているの」と、おっしゃりご自分の掌を雪に、私の頭をイスキアに見立てて、ポンと掌で私の頭を包むように触れられました。
何ともいえないやさしさに包れた心地よいひととき。
一瞬で温かくなって心が溶けたあの感覚は今も忘れません。

そんな優しい人たちが心を込めてむすぶ🍙おむすびだから人を生かすのでしょう。

「いのちをむすぶ」の帯
吉本ばななさんは「ほんとうに偉大な存在は、決して人に気づきを強いない。」という。

ですが、私は未熟者
そこで、
ごはん食べたことある?
「はい」と答えたあなたへ
食べているってことは、命をいただいているってこと、
その命を引き継いだ責任はあるのでは……。

お米、にんじん、じゃがいも、キャベツ……
いろんなものの命で成り立つ
そんな自分を大事に
今日を生きましょう