「目と目で通じ合う」  酒井 侑子

だんだんと春の足音が聞こえてきましたね。今は学年末試験の真っ最中ですが、来月になれば進級、クラス替えなど新しい環境での生活がはじまります。

先日、音楽の授業の中でリトミックを行いました。リトミックとは、音楽的な感性、基礎能力を伸ばすための訓練です。リトミックはペアやグループでの活動が多いのですが、3学期ともなると1年一緒に過ごしたことで気心が知れているからでしょうか、クラスメイトとの活動はとても楽しそうです。特に、1人ずつリズムパターンを叩きリレーするゲームでは、笑顔がたくさん飛び出します。リズムを叩くことというより、リレーする時のルール「相手の目を見る」でついつい笑ってしまうようで、友達と顔を合わせる面白さや照れも相まって、なんとなく空気が柔らかくなる瞬間です。

しかしゲームを導入した昨年の春頃には、まだ雰囲気が固く、なかなかうまくいかないクラスもありました。仲は悪くないけれど少しよそよそしい、微妙な緊張感が積極的な交流を妨げてしまっていたようです。確かに人の目を見ながらしゃべるのが苦手という人はたくさんいます。あまりじろじろ見つめられては落ち着かない…という人もいることでしょう。しかし、このゲームでは目が合うのは一瞬のこと。だんだんと慣れてくると、引っ込み思案の子も少し勇気を出して目を合わせるようチャレンジし、これまでほとんど接点のなかったクラスメイトとも、少し仲良くなれたと言います。

ちょっとしたアイコンタクトは、人と人との心も距離を縮めてくれるようです。新学期、新しい出会いがあった際は、いつもより少し顔をあげて、目線を合わせながら話しかけてみてはいかがでしょうか?意外な人との繋がりが生まれるかもしれません。