落語の神様お願いします!          遠藤 克彦

2019年のNHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」の放送が始まりました。脚本が宮藤官九郎のオリジナルである点、様々な大物俳優が出演してる点など世間に話題を振りまいています。普段、NHKの大河ドラマには全く関心のない私が今回はある点で引っ掛かりました。なんと、大河ドラマ「いだてん」の語り手が落語の神様古今亭志ん生であるとのこと。そして、その古今亭志ん生役をビートたけしが演じることが発表されたからです。ビートたけし氏はこれまでも古今亭志ん生の大ファンであることを公言しており、彼が古今亭志ん生をどのように演じるのかは非常に興味あるところです。
中高生の皆さんには落語といえばおじいちゃんおばあちゃんが楽しむもの、という先入観があるのではないですか。実は昔わたしもそのような形で落語を考えていました。その印象が変わったのは大学時代に古今亭志ん生の息子の古今亭志ん朝師匠の落語をテレビで見たときですね。粋でいなせで、カッコいい。単なる年寄りの娯楽ではないのだなと感じ入りました。その他立川談志師匠ですかね。若い人たちの感性に直接訴える落語家もたくさんいた時代でした。そんな私が今、古今亭志ん生師匠の落語に傾倒しています。昭和30年代に全盛期を迎えた落語家です。芸風はまさに天衣無縫の語り口。「ぞろっぺ」といわれ、同じ話も演じるたびにかなり違ったものになったそうです。気分が乗らなきゃグダグダ、そのかわり当たると大きいというホームランか三振か、という芸風でありました。また、志ん生師匠といえば大のお酒好きでも知られています。あんまり好きなので、お酒に酔ったまま高座にあがってしまうこともたびたびあったそうです。師匠が酔っ払って高座で居眠りしても、見ているファンはクスクス笑い、面白いからそのままにしておいてあげてってことになったそうです。まさに無敵。それだけファンに愛されていたようです。得意ネタも数知れず。有名なものを上げれば「火炎太鼓」「抜け雀」「二階ぞめき」「居残り佐平次」「替り目」などなどたくさんあります。私が好きなのは「火炎太鼓」「替り目」「厩火事」などの長屋夫婦ものですかね。志ん生師匠が演じる奥さんが何とも言えない味があるのですよ。志ん生師匠が実際に寄席で演じている録音CDを聞いて楽しんでいるのですが、そこには当然お客さんの笑い声も入っています、お客さんがめちゃめちゃ楽しんでいるのがわかります。あきらかに子供だろうとおもわれる笑い声も多く入っています。本当に子供から大人まで笑わせていたのですね。できることなら、この時代の寄席にタイムマシンでいってみて志ん生師匠の落語を一度でいいから聞いてみたい。そんな風に思います。落語の神様!なんとかならんですか!(笑)