数学はどのようにつかわれているのか    鬼塚寛之

「数学は何の役にたつのですか?」ときかれることがあります。本当にいろんなところで活躍しているのですが、身近なところでは携帯やスマホ等のセキュリティー管理のために数学の整数論(特に素数理論)が用いられています。現在も日夜研究がすすめられていますが、素数に関しては未だ多くの謎があり、未解決の問題が無限にあります。その未解決の部分をある意味うまく活用して、セキュリティー鍵を作っています。我々の携帯、スマホの安全は300桁の素数が守っているわけです。
さて、その素数ですが、ゼータ関数という関数とは切っても切れないような関係にあることが知られています。ところが、このゼータ関数、やっばり謎だらけなのです。この謎を巡っては数学者だけでなく、暗号を作る側、暗号を破ろうとする側にとっても死活問題になるのですが、難しすぎて幸か不幸か未だ全面解決には至っていません。例えば3をこの関数に代入すると無理数であるということが証明されただけで当時の数学界に衝撃をもたらしました。(当然これだけでは役には立ちませんね。)
このゼータ関数に関しては「リーマン予想」という大きな未解決問題があります。この問題が解かれることで今日の情報ネットワークにも大きな影響が出るのではないかとも言われています。また、物理の素粒子理論にも大きな影響を与えるとのことです。(また、クレイ研究所から1億円の懸賞金がでます!! )この問題、どのような視点や近代数学のあらゆるテクニックをもってしても解けないという状況が百年以上続いています。まるで、子犬が自分の尻尾を追いかけるように届きそうで届かない。でも実際に解けたらネットワークに混乱をもたらしそうなこの関数は、昔から多くの研究者を魅了してきました。
信愛生も、数学の道に進むという人は少ないかもしれませんが、学問に限らず、なにか将来夢中になれるようなことをみつけることができるといいですね。また、そんな幸せをもっているのに意外に自分では気が付かないということも多いです。一度自分の周りを見まわしてみると、小さな幸せが身近なところにみつかるかもしれませんね。
インフルエンザが流行っていますね。体調に気を付けてみなさんお過ごしください。