土台作り  村上 渉

発展を望む者は基礎をしっかりさせなければならぬということを意味する「求木之長者、必固其根本(木の長きを求むる者は、必ず其の根本を固くす。)」『旧唐書 魏徴伝』という故事があります。将棋棋士、佐藤天彦名人は、まさにそんな棋士であるといえます。

名人とは将棋界で最も格式と歴史のあるタイトル称号のことです。その称号を得ている、佐藤天彦名人は、プロデビューした直後から土台作りを重視してきました。その土台作りについて「土台作りは一朝一夕にはできない。将棋だけでなく、人生経験そのものなので、日常生活もおろそかにできない。」と述べています。棋士にとって、将棋は仕事であり、勝たなければならないものです。これを私たちの生活に置き換えると、「仕事や勉強はどうしたらうまくいくのか」ということになると思います。つまり、仕事や勉強でうまくいくためには仕事や勉強だけをすればよいのではなく、日々の生活を大事にしていくことが必要といえるのではないでしょうか。

13日、14日はセンター試験と本校の中学入試が実施されました。受験されたみなさんの手ごたえはどうだったでしょうか。私自身は、中学入試の試験監督のため、高校3年生の応援には行けませんでしたが、テストを受けている真剣な顔つきの小学生の姿を見て、この日のために努力したことが伝わってきました。

大学入試に向けて、高校3年生の皆さんは、授業、小テスト、宿題、といった勉強だけでなく、あいさつや掃除といった日々の生活も大事にして生活されていたと思います。また、本校に受験していただいた皆さんは、このために家族一同で体調管理などの日々の生活を大事にして勉強されていたと思います。

これから、高校3年生は私学の入試や国公立の入試がはじまり忙しい日々が続きますが、最後まで悔いのないように勉強だけでなく、食事や睡眠といった体調管理をしっかりして、日々の生活を大事にして過ごしてください。