磁石の力  大谷 真以子

「透明とふ言葉覚へし孫の言ふ 風と涙と磁石の力」

先月大好きだった祖母が亡くなりました。92歳でした。
2年前に和歌山に帰ってきてからは2、3週間に1度、祖母の暮らす老人ホームまで行き、甘いものを食べながらおしゃべりし、携帯のアプリ(最近は「SNOW」がブームでした!)で遊んだり、祖母の作った短歌について話したり(短歌は祖母の生涯の趣味でした)するのが習慣になっていました。ホームから帰る時にはいつもハグをしたのですが、祖母は毎回照れながら私の背中に手を回して応えてくれました。そして私の車が見えなくなるまで、部屋の窓から見送ってくれたものでした。
お正月に一緒にテレビで箱根駅伝を走る早稲田大学を応援して数日後、急に具合が悪くなりそのまま亡くなりました。まだまだ話したいことや聞いておきたいこと、もらいたいアドバイスがたくさんあったので本当に残念です。「もう会えない」という実感はまだわきませんが、先日祖母がここ数年の間に作った短歌を読んでいて寂しさがこみあげました。私の読めない漢字や聞いたことのない表現がたくさん使われていましたが、その短歌を詠んだ時々の祖母の気持ちが伝わってきました。祖母がいなくなった今でも、短歌という形で祖母の思いが残されいて、それに触れることができることは幸せだなとしみじみ思いました。
冒頭の歌は、子供の頃、祖母と話していた時の私の様子を歌にしてくれたもので、私の大好きな歌です。ここまでずっと私の成長を見守り応援してくれた祖母に感謝の気持ちでいっぱいです。

高3の担任をしていたこの1年は、受験の話をすることも多く、祖母もいつも生徒たちのことを気にかけてくれていました。今日は国公立大学の出願締め切り日です。後期日程まであと1か月と少し。3年生の皆が最後の最後まで自分を信じてやり抜くことができるよう応援しています!