藤原 麻衣

信愛の校舎の北側にある、和歌山駅からまっすぐに伸びる通りの名は「けやき大通り」と言います。その名が冠するけやきの木は、中央分離帯の部分に植えられており、ここ最近は緑葉が心地よい風に揺られている様子が二号館の窓から見受けられます。

ところで『3月のライオン』という漫画を知っていますか。
主人公の桐山零は、東京の下町に一人で暮らす、17才のプロの将棋棋士。幼い頃事故で家族を失い、深い孤独を抱えた少年が、人々と出会い心を通わせていく…といった物語です。

この中に、島田開というキャラクターがいます。粘り強く決して諦めず、たゆみなく努力を重ねてきた彼ですが、ある時大きな壁にぶつかります。今までの努力を全てなかったことにしてしまうようなその壁の前で、彼は立ち止まってしまうのです。しかし、彼が再び前に進んで行くためには、粘り強く決して諦めず、たゆみない努力を重ね続けるしかありません。彼が今までそうしてきたように。
その後、彼がまた歩み始めたとき、次のように形容されました。

『地味に地道にコツコツ自分を積み上げてまた一枚ぶ厚くなって戻ってきたよ。
コイツはそうだけやきの木だ
ゆっくりとしか大きくなれねぇ代わりに雨風に耐えて硬くてでかい木に育つ』

私は、信愛生はこうあって欲しいと思います。6年ないし3年で、壁にぶつかるときもあるでしょう。伸び悩むときもあるでしょう。しかしコツコツ自分を積み上げて、ゆっくりとでも構わないから、ぶ厚く、硬くて大きな心を持って、卒業していって欲しい、卒業後も成長を続けていって欲しいと思います。自分が積み上げたものを、無駄にしないように。

長らくけやきの木のすぐ側で生活してきた信愛生。ぜひけやきの木のように、成長していきましょう。

ちなみに、信愛の合い言葉は「コツコツ」です。