パスタファリアン――空飛ぶスパゲッティ・モンスターを敬うという、なんとも炭水化物の香り漂う一団。

その正体は、「空飛ぶスパゲッティ・モンスター教」の信者である。

しかしその誕生の背景は意外と真面目で、2005年にアメリカのカンザスで議論になったインテリジェントデザイン（ID）仮説が関係している。

ID仮説とは、生命の複雑さは偶然ではなく「何らかの知的存在」によって設計されたと考える立場で、これを科学教育に導入すべきだという声が一部で上がった。

そこで、「それなら、スパゲッティの神による創造も候補に入れるべきでは？」とユーモアを交えて抗議したのが、パスタファリアニズムの出発点である。

もちろん、彼らは誰かの信仰を否定したいわけではない。

むしろ、「多様な考えがある中で、何をどう扱うかは慎重でありたい」というメッセージを、麺の湯気のようにふんわりと届けているのだ。

彼らの神様はスパゲッティとミートボールで構成されているらしく、全知全能というよりは、空の上でぼんやり漂う“近所のおじさん”的な親しみやすさがある。

祈りの言葉が「ラーメン！」という国際麺類交流も健在だ。

また、公式写真でザルを「宗教的な装具」と主張するなど、一見コミカルな行動の裏にも、「信念や信仰を公平に扱うとはどういうことか」という社会的な問いが隠れている。

これは他宗教を揶揄するためではなく、多様性との向き合い方をユーモラスに考えるための試みだ。

こうして見ると、パスタファリアンは世界を“ゆるく深く”眺める新しいレンズなのかもしれない。

麺は柔らかいが、メッセージは意外と歯ごたえがある。

今日もどこかで、空飛ぶスパゲッティが風に揺れ、人々に軽やかな問いを投げかけている。

ラーメン。

---

※特に私がパスタファリアンというわけではありません。最近ネットで見かけた単語なのですが、調べると意外と奥深くて面白かったので、ご紹介です。なんと、アマゾンプライムにドキュメンタリー映画があるそうなので、近々見てみようと思います。