映画『国宝』を見てきました。     岡本真由美

昨日は大雨警報が発令され、休校になりました。みなさんの家や周辺は大丈夫でしたか? 予想していなかった警報でしたので、朝起きて警報が出ていて驚きました。(和歌山市内は防災行政無線で放送がかかるので、その音で目が覚めたという先生方もたくさんいらっしゃいましたが、私は一度寝ると起きませんので、全く気づいていませんでした…)

警報が出たせい(おかげ?)で仕事が早く終わったので、ずっと周囲から薦められていた映画『国宝』を見てきました!

友人や、信愛の先生方から「絶対見た方がいい」「何で見てないんですか?」「あなた絶対好きだから見るべき!」などなど、周囲にハードルを上げられまくった状態で見てきたのですが、それでもそのハードルを軽々と超える素晴らしい映画でした!!

エンドロールが流れているときに自分が泣いていることに気づき、終わった後も茫然として溜息しか出ない、こんな風になる作品は久しぶりでした。

 

まだ見ていない人はこの先ちょっとだけネタバレです。(あんまり内容には触れないようにしています。)

 

最後に主人公の歌舞伎役者がインタビューを受けるシーンで、インタビュアーが「順風満帆でずっと華やかな道を歩いてこられた」的なことを言っていましたが(セリフは曖昧です)、ここまで見てきた観客は「いやいやいや、どこが順風満帆やねん! めっちゃ大変な時期あったやん!」と思ったはずです。でもそこで主人公が答えたセリフは「周りの皆さんに支えられて…」というものでした。(このセリフも曖昧です)

このシーンを見て、私たちが華やかな芸能の世界を見るとき、「この人はずっと売れてて、すごいなぁ」とか「めっちゃ人気あって、こんな顔や歌声があれば人生楽しいだろうな」とか思ったりするのは、本当に表層しか見ていないんだろうな、と思わされました。芸術の産みの苦しみとか、下積み時代の苦しさとか、私たちには見えない部分がたくさんありますよね。そういうものを見せている人ももちろんいると思うんですが、もちろん全部が見えているわけではありません。

芸能の世界にいる人に限らず、ある人と相対したとき、自分が見えているのはその人のほんの一部なんだろうなあと思います。その人の考えていること、過去にあった楽しいことやつらいこと、健康状態や家庭の状況、そういうのが全部わかるはずもありません。話している中でわかってくることはたくさんあるけれど、全てを知って理解するのは無理なんだろうなと思います。例えば先ほど書いたように、私は一度寝たら朝までぐっすり寝てしまう人なので、夜なかなか眠れなかったり夜中にすぐ目覚めたりしてしまう人の気持ちはあんまりわかりません。

だからといって理解しようとせずに切り捨ててしまうのも違うと思うのです。

みなさんも周囲の人と、わかり合えたりわかり合えなかったりするはずです。その中で自分にはなかった考え方を知っていくことが、大人になるということなのかなと私は勝手に思っています。

直接人と接するのでなくても、本や映画、絵や音楽でも、自分が知らない、感じたことのないことを知っていくのは、みなさんよりずーーーっと年上の私でも新鮮で楽しいです。この『国宝』という映画も私にとってはすごく新鮮で、衝撃で、知らないことを教えてくれるものでした。

みなさんもいろんな人と出会い、いろんなものに触れて、自分にない感覚をどんどん吸収してほしいです。とりあえず、見ようかなと思っている人はぜひ『国宝』見てきてください!!