日本一の陰に…。  林三千夫

私は、ソフトテニス部の顧問として選手のサポートをしています。
3月28日~30日に和歌山ビッグホエールにて開催された、『第50回 全日本高等学校選抜ソフトテニス大会』において、本校ソフトテニス部が見事、2年ぶり5度目の優勝を果たしました。
多くのマスコミにも取り上げて頂き、生徒会主催で、全校生徒への報告会と祝賀会を開催して頂き、部員たちは、たくさんの「おめでとう」をいただきました。本当にありがとうございました。これは、形は異なりますが目標に対して地道にコツコツと努力している信愛生の日ごろから創り出す空気、環境、雰囲気、理念…が「和歌山信愛」という学校をつくっていると考えていますので、信愛生全員の優勝だと思っています。

今回の優勝は、もちろん出場した選手たちの頑張りです。間違いありません。しかし、私は今回ほど応援の力を感じたことはありませんでした。人の声が、想いが人を動かし、奮い立たせ、折れそうな心を立ち直らせる。その姿を目の当たりにしました。
何十年も高校生を指導していると、選手の心の動きやプレーの流れがだいたい見えてきます。が、今回は違いました。会場全体が和歌山信愛を応援してくれて選手たちは、とびっきりのプレーもなく、ただひたすら必死でボールを追いかけ、打ち返し、その応援してくれる人たちの想いに答えていました。その結果が優勝でした。本当に素晴らしい景色を見せて頂きました。

長くなりますが、もう1点、どうしてもお伝えしたいことあります。
今回、会場が和歌山ビッグホエールということもあり、大会前日の会場設営を選手以外の部員が担当しました。おもにラインテープを貼るのが仕事でした。「貼る」と言っても、全国大会ですので、ゆがみはもっての外です。それも、準備当日まで違うイベントが入っており、取り掛かることができたのは、夜の6時過ぎ。そこから6面分のテニスコートのラインを貼って、コートを作らないといけませんでした。何とか退館時間ぎりぎりまでかかって、見事なテニスコートをつくり上げあげ、大会をスタートすることができました。この時の部員たちの動きも本当に素晴らしいものでした。

今回の優勝の陰には、多くの方々の準備や苦労があります。決して表に出て華々しく称えられることはありませんが、そこに光をあてられる人に成長してもらいたいと思います。
最後に、私から部員たちに送ったメッセージを。
「(省略)…今回、君たちは、凄い経験をしました。前日18時過ぎからの会場設営から始まり、普段、見ることができない裏方の仕事を経験することができ、いつもの大会をする裏で、たくさんの人が準備をしてくれて、大会ができることも分かったこと思います。
これから大会ごとに、それを想像しましょう。
想像できれば、ゴミが落ちていたら拾うだろうし、コート整備も率先してやれるだろうし、ありがとうございます。という気持ちでジャッジペーパーを持って行き、笑顔で挨拶するようになるでしょう。
もちろん、日頃の生活や授業に置き換えても同じです。
見えていないところを想像できれば、誰かがやってくれるお蔭で、寮生活が送れて、家での生活が送れる。小テストも提出物も授業も、誰かが自分のために時間をかけてやってくれたから…と想像できれば、いい加減にはできなくなるでしょう。
君たちが必死で1ミリもずれないように貼ったラインテープがあったからこそ、素晴らしい大会になった!と言われたように。その上で、 あの心を一つにした応援。そして、それに応えるプレー。もう君たちは最高です!!
…(省略)」