気温や日差しが日に日に春めいてくる今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。かと思いきや今週末にはまた寒の戻りもあるようで、春先の気候というのはまさに三寒四温という言葉の通りだなと感じています。
最近は半藤一利「日本のいちばん長い日」を読んでいます。「日本のいちばん長い日」は、1945年8月の日本において、当時の鈴木貫太郎内閣が、ポツダム宣言を受諾し玉音放送で国民に敗戦を知らせるまでの数日間、閣僚や軍人たち、天皇の周辺で何が起こっていたのかを描くノンフィクション長編作品です。昼夜を徹して状況が刻々と動いていく様子を一時間ごとに区切って描写している、非常に臨場感のある構成になっています。何度か映画化もしているので、そちらの方でご存じの方も多いかもしれません。
読み始めたのは、著者の半藤一利が2021年に亡くなり、その著作が書店などで特集されていたのがきっかけです。興味はあったもののほかにも読む本あるしなあ、と思っているうちに数年を過ごし、今やっと半分と少し読み終わったあたりです。日本の戦中・戦後史に興味がありつつ、何から勉強したものかと考えていたのですが、綿密な調査や聞き取りを下敷きとしつつ、閣僚や昭和天皇、軍人たちの心理描写も面白いこの作品は、知識欲だけでなく読書欲も満たしてくれます。読みごたえがあるのでなかなか読み終わらず、少しずつ数か月くらいかけて読んでおります。
おりしも今年は戦後80年の節目の年に当たり、テレビや新聞だけでなく、書店などでも第二次世界大戦や太平洋戦争に関する特集が行われることかと思います。先日の3月10日は東京大空襲から80年の日でもありました。ここ和歌山市でも、7月に大きな空襲があり、今も慰霊碑が残っています。信愛生の皆さんにとっても、なかなか普段はそうした内容に自分から関心を持つことはないかもしれませんが、夏に向けて触れやすいものから触れていってもらえればと思います。