中学1年生担任の八幡です。
3学期に入り、中学1年生の国語は2年生の学習内容に入りました。今は『枕草子』を学んでいます。
『枕草子』は平安時代に書かれた随筆で、作者の清少納言が日常で感じた美しさや面白さ、驚きなど、さまざまな感情が描かれています。
平安時代の文化や価値観には、現代とは異なるものが多く見られます。たとえば、当時の貴族は直接会うことよりも、和歌や文章を手紙に書いて気持ちを伝えることを重視していたとされています。また、当時の女性の理想像は、おしろいで顔を真っ白にし、眉を剃り落として高い位置に太い眉を描き、黒い髪を長く垂らしたものだったようです。
このように、平安時代は今とは異なる世界でした。しかし、現代の私たちにも通ずる感覚があるのだということを、『枕草子』を読んでいると感じさせられます。
「うつくしきもの(かわいいもの)」の段には、スズメの子がチュンチュン鳴きながらぴょこぴょこ寄ってくる様子、赤ちゃんが這っている途中で見つけたほこりを小さな指に乗せて大人に見せに来る様子などが、かわいいものの例として挙げられています。動物のかわいらしい動きや小さな子どもの仕草を「かわいい」と思う感覚は、現代の私たちにも通ずるものがありますよね。
また、日記的な章段の中には、清少納言が夜遅くに女房(宮中にお仕えする女性。清少納言は中宮定子にお仕えする女房でした。)たちと集まって昔話や恋バナを楽しんだエピソード、中宮定子とユーモアのあるやりとりをしたエピソードなども記されています。私たちも、親しい人とおしゃべりで盛り上がったり、冗談を言い合って笑ったりしますよね。清少納言も、そういった何気ない時間に幸せを感じていたのだなと思わされます。
人々が日々の生活の中で感じる心には、1000年前と変わらないことも数多くあるのではないでしょうか。みなさんが、『枕草子』を始めとしたさまざまな古典作品に触れることで、日常の中で新しい発見をできればいいなと願っています。