中2のあるクラスで、「冬休み英語自由研究」という使命を生徒に課しました。これは宿題でなく「使命」であって、達成しても点数は得られないが「名誉」が得られるという触れ込みでした。
ウルトラマンが地球を救うのと同じで、これは使命なのです。スペシウム光線を放つのは宿題ではないのです。
といった感じで14歳の女子たちに熱く語ったところ、それに答えた若き研究員が素晴らしい成果をまとめてくれました。「夏休み英語自由研究」提出者0人からの飛躍的な進歩です。
各自が今までの英語学習で疑問に思ったことを、自分になりに調べるという簡単なものでしたが、若き研究員たちは、それぞれ設定したテーマをうまくまとめてくれました。それぞれの研究題目にはこんなものがありました。
「you が単数と複数の両方に使われるのはなぜ」
「好きな動物の英語名とその由来」
「不規則動詞の似たパターン」
「英語はどこから来たのか」
「日本語由来の英語」
「don’t have to と must not はなぜ意味が違うのか」
などなど・・・
どれも興味深いものばかりです。これらをまとめた冊子に私がメッセージをつけたので、それをここで加筆して転載しておきます。
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今回の「使命」を全うしてみてどうでしたか。どのテーマも中学生とは思えないほど素晴らしい問題設定と調べ学習になっていて、とても感心しました。これからも、たくさんのことを勉強していきますが、「なんでこうなんの?」と思うことがあったら、その疑問を大切にしてください。我々はルールを叩きこまれると、それを盲目的に信じ込み、次第に疑問に思わなくなっていくこともよくあります。しかし、疑問は学び・発見の最大のきっかけです。ぜひ、当たり前に思える言語のルールにどんな背景があるのかこれからも考え続けてほしいと思います。
そして、語学力に限らずですが、本当に高度な学識を持つ人は、難問が解けるというよりも、本当に簡単なことを、本当の意味でよく知っているものです。そのためには、膨大な量の知識と経験が必要になります。語学において、学習の最大の頼れる見方は辞書です。私も15年以上英語を勉強していますが、中学1年で習うような基本単語を辞書を引いてみて、発見が「ない」なんてことはまずありません。みなさんも、わかったつもりのことを常に新たな視点から再検討できるような学習者になってほしいと思います。
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この話は大学入試にも通じるところがあります。入試問題の難所を攻略できて、難問に解答できるからといって合格できるとは限りません。難関大の入試でもそうです。しかし、どんな試験でも、簡単なところで間違えてしまうと一気に形勢は不利になります。受験生の皆さんは、どれだけ不安になっても基本的なところに立ち返る勇気を持って残りの受験勉強に臨んでみてください。応援しています。
《宣伝:英語の歴史に興味が出てきたみなさん、古英語研究会に参加しよう! must は古英語 motan では「~してよい」という「許可」の意味だったから must not の方が本来の意味だ!とかわかって楽しいよ~》