信愛生のみなさん、テスト前ですが体調はいかがですか?暖かくして勉強に励んでくださいね。
少し寒くなりだした今月初め、私は毎年楽しみにしている「正倉院展」に行ってきました。正倉院展とは、正倉院の宝物が点検される毎年秋に、その宝物を一般公開してくれるという素晴らしい企画です。中には一度公開されるとその後30年近く公開されないものや、70回以上行われているにもかかわらず初めて出展されるものなどもあります。一度見逃すと後悔する宝物がゴロゴロ出てくるのが正倉院展の魅力の1つです。
私の正倉院展との出会いは中学2年生のとき。信愛の図書室で借りた「正倉院美術館 ザ・ベストコレクション」を読んでから、私の心は天平文化に支配されたままです。
さて、今回の私のお目当ては、「平螺鈿背円鏡(へいらでんはいのえんきょう)」でした。唐(現在の中国)で作られたと言われており、高度な技術を尽くして仕上げられた、歴史上最高峰の鏡の1つです。ヤコウガイや琥珀(こはく)などによって美しい文様が表わされているのですが、その細かいことといったら!螺鈿(らでん)は細部を毛彫りで表現されており、何時間でも見ていられます。この美しい鏡は鎌倉時代に盗まれて壊されており、明治時代に修理されました。今でも鏡面には痛々しい跡が残されています。
このほかにも素晴らしい宝物がたくさん出展されていました。ものすごくリアルなすっぽんの形をした容器、道鏡(日本史で勉強した人は覚えていますよね!)の自筆文書、何に使われたかよく分かっていないもの などなど。
1000年以上前に作られ使われた宝物が私の目の前で展示されるまでに、どれほどの奇跡と努力があったのか…。そう考えるだけで胸も目頭も熱くなり、歴史を勉強していて本当によかったなと実感します。テストが終わってから、私の正倉院トークを聞いてもいいよという人はぜひ片平のところへ来てください!ここに書ききれなかったお話と平螺鈿背円鏡のスライドミラーを用意して待っています!