2019年の11月頃に『ドラえもん0巻』が出版された。私は販売を知り、すぐに購入して読んだ。その内容はいろいろな第一話のドラえもんが掲載されているものだった。物心ついたときから『ドラえもん』を見ていたが、気がつくとのび太の年齢の3倍近く生きていることに驚いた。
『ドラえもん』は藤子・F・不二雄が執筆した、ロボットのドラえもんとおっちょこちょいでドジなのび太を主人公とする漫画である。のび太は大学受験、就職に失敗し、会社を立ち上げた。しかし、自分で使用した花火の不始末により社屋が炎上、さらには倒産。莫大な借金を残し、ジャイ子と呼ばれるわがままでいじわるな女の子と結婚した。しかし、ドラえもんの登場により、裕福な生活を送れ、将来は憧れていたしずかと結婚する様に運命が変わる。そして、のび太はしずかちゃんとの結婚前夜に「いつの間にか僕は夜中に一人でトイレに行けるようになった。 電車に乗って会社に通うようになった。でも本当に僕は変わったのかな? ねえドラえもん、僕は明日結婚するよ・・・。」と河川敷に寝転び星空に語りかけた。
のび太はドラえもんに出会い、一人の人間として自立し、社会と関わることができるようになり、みんなのヒロインであったしずかちゃんと結婚することができた。きっとドラえもんはのび太に今の生活を満足させるだけでなく、将来の様々なライフイベントを見越して人生プランを練っていたのでしょう。また、のび太は結婚前夜に、結婚というライフイベントを通して、無責任であれた子どもから責任のある大人へと成長していく段階を振り返ったのだと思います。
さて高校1年生の家庭科で生涯を見通した経済計画の重要性について理解することを目標において「将来の経済を見通す」という単元を行いました。生徒らは「将来どのような人生を送りたいですか?」という問いに対して「海外で過ごしたい」だとか「28歳までに結婚する」というような返答をしてくれました。将来、生徒たちは結婚や子育てにお金をかける人もいれば、日本を飛び出して海外で暮らす人もいるかもしれません。将来住む家はマイホームを買う人や住宅を借りる人もいるかもしれません。老後にそなえて、若いうちからお金を準備しておきたいですね。そのため将来に向けて、進学や就職、結婚、住宅購入などのライフイベントを見据えた準備をしていく必要があります。また、中学生や高校生は社会の一員として様々な能力を身につけていく段階です。残念ながら私たちにはドラえもんはいません。そのためにも家庭科の授業を通して、自身の人生について考えるようにしてもらえたらなと思います。