大ヒット上映中!   山本茂樹

11月22日に『アナと雪の女王2』が公開されました。みなさんはご覧になりましたか?
前作の『アナと雪の女王』は日本での公開が2014年3月14日だったので、あまり意識されていないと思いますが、アメリカでは2013年11月27日公開でした。つまり、クリスマス映画だったわけです。今回は日米同時公開でしたから、日本でもクリスマス映画として楽しむことができます。

『1』はディズニーのプリンセスもののセオリーを打ち破り、王子様とのロマンスでハッピーエンド、ではなく、幼いころから事実上家庭内生き別れ状態になっていた姉妹の「愛」が祖国を救うという、「家族愛」がテーマとなっていた作品でした。まさにクリスマスにふさわしい映画だったわけです。

『2』はまだご覧になっていない方もいらっしゃるかもしれないので、ネタバレにならない程度に書かせていただくならば、やはり「家族愛」がテーマになっています。こちらも、クリスマスにふさわしい映画だと言えるでしょう。

ただし、内容に関してはかなりの差異が認められます。『1』のエルサは、氷の魔法を使うことができるという秘密を持つがゆえに外部との接触を断ち、自分の殻に閉じこもっていた女性でした。それが、お城を飛び出すことで「ありのままに」生きていけばいいんだ、と第一段階の成長を遂げます。しかし、自らの力のせいで妹アナを危機に陥れてしまったがために、我が身を顧みずに妹を助けようとします。そして、妹を救うことができたのが自らの「愛」だと気づき、人々を信じられるようになり、人々から受け入れられるという第二段階の成長を遂げるのです。しかし、この氷の魔法は単なる比喩に過ぎません。なぜならば、誰しも人には言いにくいことを一つは持っており、それがためにエルサのような孤独を味わっているからです。つまり、『1』はエルサの成長物語であり、誰しもが自分もエルサと同じだという共感を持つことが出来る、普遍的なメッセージ性を持った映画だったのです。『1』がヒットしたのは、そういう理由でした。

なお、『2』の物語はかなり様子が異なっています。『1』のような自分と比べるという感情移入の仕方は難しいかもしれません。また、設定が急に複雑になり、子ども向け作品ではなくなっているようにも思います。

個人的には、私は『1』の方が好きです。ジブリ作品で例えるならば、『1』は『天空の城 ラピュタ』、『2』は『風の谷のナウシカ』だと思いました。

今年のクリスマスは、ぜひご家族で4つのアニメ映画を見比べてみてはいかがでしょうか。