君たちはどう生きるか      村上 渉

家庭科の教科書には自分の将来を考えることが重要であると書かれていることが多い。信愛生も大学や短大、専門学校に進むのか、はたまた就職を選ぶのか、自分の将来について考えたことがあるでしょう。どのようなルートをたどるにせよ、最終的には自分の生活を支えていく糧となる「仕事」を見つけなければなりません。

あるクラスで「将来なりたい職業ってある?」こうたずねると具体的に答えられる生徒はすくない。また「なんのために働くのか?」とたずねると「お金を稼ぐため」、「生活のため」という「自分の生活のため」という回答がかえってきます。

それも間違ってはいませんが、私にはもっと大事なものがあると思っています。さて、これを読んでいる信愛生の皆さんは何だと思いますか。

答えは「社会のため」です。例えば、農家の人たちが食べ物を作ってくれているから私たちはご飯を食べられるし、電車の運転手がいるから私たちは電車に乗っていろんなところにいけます。つまり私たち一人ひとりが働くことによって社会はなりたっています。

信愛の中学三年生は自分の将来の仕事を考えるために、1学期に東京研修の中で未知の知識に触れたり、体験をしたりしました。2学期になるといよいよ職業体験が始まります。職業体験を通して皆さんには、実際に働いている人の考えに触ることや、いままでになかった体験をすることで、未経験のことに挑戦する勇気とその価値を体得して欲しいです。

世の中を見渡せば、皆さんの知らない職業がたくさんあります。そうした職業を選択する際に自分自身の能力や個性についてしっかり理解しておくことが大切です。信愛での生活を通して自分の能力をしっかり磨き、自分の個性も育て、理解することを大切にしてください。

そして将来、信愛生の皆さんがいろいろな人に「お陰さまで」と言ってくれるような働き方ができるような人に育って欲しいと思います。