吉田 晋先生

皆さんは本当に「考えて」行動していますか—

ある寿司店での出来事です。メニューに、にぎりの松・竹・梅 の選択肢があり、少し迷いました。
せっかくだから一番上等の「松」を頼もうかな。いやいや、あまり贅沢はいかん。やっぱり「梅」にしよう。いやいや、それもけちくさいな。
ということで「竹」を頼みました。
私としては、”考えた”つもりです。しかし、後日ある本を読んで、実は「考えて」いなかったことを知りました。
つまり、松竹梅の選択肢を設ける店では、まさに私が”考えた”ことを見透かし、客が「竹」を一番選びやすいことを最初から知っていたというのです。つまり、自分では”考えた”つもりでも、店側の描いたシナリオ通りの行動をとって注文したということになります。ちなみにそのような店では、客が「竹」を頼むと一番儲かるように商品を用意しているようです。
以上は「思考停止」の一例です。本人としては”考えた”つもりにはなっていても、実は他人が用意したシナリオ通りに行動している—
中高生の皆さんは「思考停止」状態に陥っていませんか?
例えば、授業中「三角すいの体積は底面積×高さ÷3」だと習います。これ、納得できますか?なぜ3で割るのでしょう?
3で割ることに疑問をいだかないあなた。残念ながらあなたの思考は完全に止まっています
つまり、「先生がそう言うのだから正しいに決まっている」って無意識のうちに思って「考える」ことを放棄しているだけではないですか。
先日ノーベル医学生理学賞を受賞された京都大学の山中伸弥先生が、受賞が決まった直後にどこかの局のテレビでこんなことをおっしゃっていました。若者へのメッセージは、と聞かれ「先生の言うことを信じてはいけません。教科書に書いてあることを信じてはいけません」 信愛ではもうすぐ期末試験なので、生徒の皆さんは必死で勉強していると思います。でも、皆さんは本当に「考えて」勉強していますか?